JIA長野県クラブ「代表日誌」2021年8月

公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 長野地域会

JIA長野県クラブ「代表日誌」2021年8月

JIA長野県クラブ  新井 優 代表より「代表日誌」が届きました。(2021年 9月 6日)

 

書き出しがいつも新型コロナ感染症の話ばかりでなかなか代表日誌が進みません。毎月更新を代表の勤めとしてバトンタッチしましたが、全く書けておらずで、前任の皆様には申し訳ないばかりです。

さて、季節は一気に秋風っぽくなり、気温の変化が身にしみる時期(お年頃)になりました。

 

前回の代表日誌以降ですが、

・7/13 第二回総務委員会(Web)

 

・7/15 JIA支部カーボンニュートラルセミナー(Web)

政府の2050年温室効果ガス排出ゼロの方針を受けて、JIAの建築家が率先してやるべき事は何なのか。JIA-SDGsセミナーに続き、全6回の連続セミナーに参加しています。毎回400〜500名のWeb参加者があり感心の高さを感じます。

 

・7/17 長野にて令和元年東日本(台風19号)被災者相談会 参加

南信よりの参加で勉強になった。私自身は自分の体験、勉強になったが、相談者にとっては貴重な専門家のアドバイスを無料で受けられる機会。

 

・7/22 JIA支部カーボンニュートラルセミナー(Web)

 

・7/28 長野県ゼロエネ住宅専門家会議(Web)(事業委員会、信大第五課題講評会は欠席)  

阿部知事の2050ゼロカーボンの意向を受けて、信州型ゼロカーボン住宅のあり方を検討する専門家会議。信州らしい形態、再生可能エネルギー 特に木質バイオマスの算入を強く提案している。都会と同じPV(太陽光発電パネル)設置で帳尻合わせでは信州型が泣く。

 

・7/30 夏のセミナー 

県立美術館見学と戸隠まちあるき。設計者の宮崎浩氏も講師として裏話も頂き有意義な見学会が出来た。また、戸隠の伝建地区には行政が深く関わりながら実践している状況を知る。長野県クラブのメンバーも係わりながら住民に将来を見せている事は建築家としての職能をフルに活かしている事例である。

 

 

 

・8/9 カーボンニュートラルセミナー資料作成

 

・8/10 第二回幹事会、建築家の日常を語る会、技術交流会(Web)

信州の建築家としてどのように生きていくか。その根源にせまり、意識を共有できるように始めた『建築家の日常を語る会』 結論はまとまらなくても、常に話し合うことで次世代に伝えていきたい、独立した設計者としての職能問題。

 

・8/12 JIA支部カーボンニュートラルセミナー講師を務める(Web)

地方にこそ、ゼロカーボンの実現性のリアリティが有る。その立場で講師の依頼を受けました。私自身の主観は置いて、飯田市や長野県の施策を発表。また、木質バイオマスの再生可能エネルギー算入によりどのように一次エネルギーが削減されるかを林大男子寮の事例で具体的に発表した。全6回の連続セミナーでは日本の第一線の大学教授や実践者が講師を務められ、恐縮しながらの講師参加でした。でも信州に守られて住まう豊かさは伝えられたと思います。

 

・8/19 JIA支部カーボンニュートラルセミナー(Web)

中村好文さんが講師。具体的なゼロカーボンへの取り組みがどのように進化してきたかの説明は非常に参考になった

 

・8/25 『信州の建築家とつくる家』第17集 原稿締め切り

実は、私自身は少し提出が遅れました。参加者全員が編集者作業開始には提出して頂き、年度末発刊に向けての実際の作業がスタートしました。

 

・8/26 JIA支部カーボンニュートラルセミナー(Web)

最終のセミナー。ZEB事例も多く紹介され、最新事例については自分ではついて行けない雰囲気を受けた。それはそのとおりで、大手ゼネコンでも研究者とコラボで建築の構想を練っている。これからは設計者のみではZEB建築は出来ないと感じながら、コストアップも相当なものとすれば、一体建築のゼロカーボン化は何処に向かうのかは長野県クラブ内でも勉強をしていく必用性を感じた。

 

・8/27 長野県ゼロカーボン駐在所プロポ 審査会(Web)

長野県クラブのメンバーに参加頂いた同プロポ。慣れないWeb審査でしたが何とか審査会は終了。講評を私が書く立場に無いが、当選した方、惜しくもの方。これに懲りずに次回も参加をよろしくお願いします。

 

・8/30 出版委員会(Web)

編集者より個人ページやコラム等のフォーマット案を頂き、出版関係者で内容を検討。昨年、参加者に頂いた多くの意見により少しでも出版が良い方向性に向かっていけると良いと思う。

 

(9月の予定)

・9/ 7 事業委員会(Web)

・9/13 ゼロカーボン駐在所審査会(駒ヶ根)

・9/14 林業大学校 構造見学会(リアル)

・9/24 信州の木建築賞  一次審査

・9/28 総務委員会(Web)

・9/30 建築家通信発刊

 

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長野県林業大学校男子寮棟の構造見学会を9/14日に予定しています。

当初は午前中に林大構造見学会と構造家の山辺先生がWeb講師として中大規模木造のセミナー、午後は木曽町役場庁舎を設計者の千田友己氏の案内で見学する予定でしたが、長野県でも第5波の拡大でメニュー縮小して、今しか見られない林大男子寮の構造見学会のみ開催する事になりました。

 

以下のとおり、長野県建設部施設課で林大の進行状況をYouTubeにアップしています。

 

長野県林業大学校男子寮ほか建築工事 経過動画①(着工前)
https://www.youtube.com/watch?v=sciWM6x9tXY

長野県林業大学校男子寮ほか建築工事 経過動画②(柱状改良完了)
https://www.youtube.com/watch?v=apKleKGKu4E

長野県林業大学校男子寮ほか建築工事 経過動画③(基礎打設完了)
https://www.youtube.com/watch?v=Lo7BJRZVt7I

 

長野県林業大学校男子寮ほか建築工事 経過動画④(上棟開始)

ドローンが墜落して撮影出来ず。以外と廻りの木が高いのです。

 

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 (以下、見学前のネタバレです)

『定尺材が山を救う』を旗印に、地元の山の木を使い、住宅用の金物を使用して、住宅用のプレカットラインで加工して、地元の大工さんが建てる。中大規模木造にとってはこれがなかなか出来ない。

画像のとおり、最新の構造計算により、非常に経済的な断面寸法で架構が出来ています。

定尺材4,0mを使用することにこだわり、基本モデュールも1,0m、寮室の巾も4,0mとして、建物全体を構成しています。驚くほど、残材が少ないプレカットになりました。

 

 

 

 ▲特徴的な、H型平面プランの片鱗が見えます。真四角な建築に対して(構造設計者曰く)非常に難しかった構造計算。特に北側の二階建て部分の一階は壁量が少なく、平屋部分の壁の多い寮室間仕切りに負担させています。

 

見学前に事前配布資料を是非熟読下さい。—-

構造見学会は水物で、ノー勉強でくると『ふ〜ん』てなモノです。特別にアクロバチックな構造や、今まで見たことも無い架構もこの建築にはありません。でもこれから進んで行く断熱気密施工と構造との合理的な納まり、定尺材(4,0m材)のみで組み上げる架構。これからの無垢材でつくる中、大規模施設のお手本となる建築を目指したつもりです。

さらには、これが唐松無垢材かと思わせる非常に安定した横架材。豪華木曾桧の柱。超豪華な木曾桧の間柱(無駄使いと言わないように)全て木曽材を使用した建築になります。

 

今回は特に定尺材を厳格に使用する事を前提として、梁成も300以下に抑えています。ウッドショックの影響や納期の遅れ等もさほど問題にならずに現場は進んでいます。外材や集成材、長尺材を使っていれば、今頃は現場は立ち往生しています。

 

 

無垢材に対応した仕口金物。

梁の欠損も少なく、寸法的にも安定しています。オマケに建て方が早い。このような金物工法の場合は、通し柱では無く、仕口金物と連携したほぞパイプで管柱を繋ぎます。今までの木造架構の考え方を360°変えなくてはなりません。

9/14 構造見学会へ参加希望の会員は、8日までに事務局へお申し込みください。

 

 

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