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有形無形文化財

「有形無形文化財」(2007.02.01) 清水国寿(しみず建築工房 )

平成の市町村大合併も一段落したようです。私の住む小県(ちいさがた)郡真田町も上田市に合併となりました。幸い町名は残り、上田市真田町となりました。全国各地では、歴史ある地名が消えてしまったり、カタカナの地名になったりしたところがあるようです。

そういえば、私は小さい頃、上田市松尾町に住んでいました。周りは鷹匠町に末広町、大手町に新参町などなど、上田市の歴史を伝えながら情緒的な美しい響きを持った町名のオンパレードでした。しかし、いつ頃でしたか市街地の地名をみんな『中央○丁目』と名づけてしまいました。その頃、時を同じくして上田市の蔵造りや漆喰の塗りこめ造りの町屋がどんどん消えていきました。

昨年、仙台市では「歴史的町名復活検討委員会」が伊達政宗の時代にまでさかのぼった町名の復活を検討し始めたそうです。金沢市では「主計(かずえ)町」という町名を復活させたそうです。全国各地で少しずつ昔の町名が復活しています。

町名に限らず、地名というものは、そこに生まれ、育ち、居住する人のアイデンティティーのひとつです。松尾町の町名が消えてしまうと私のアイデンティティーの一部が欠落したような、小さいときの記憶を消されたような喪失感を抱きます。地名はその人が生まれる前からそこにあり、長年にわたって人々に共有されてきたもので、『過去と現在を切り結ぶ無形文化財』といわてれます。

 

また、昔見慣れた建物もその人のアイデンティティーの一部です。建築史家の藤森照信先生も『人間は自分の存在を、その連続性を、古い建物によって確認している。その喜びが懐かしいという人間を人間たらしめている感情になって現れる。』とおっしゃっています。

地名も復活するのは大変ですが、建物は一度壊すと元には戻せません。古い建物はそれに親しんできた人々の記憶が、想いが染み付いています。明治以降の日本ほど、過去の財産を粗末に捨てていく国民はいません。古い建物も大切にしましょう。

 

 

     2020/09/10  事務局ブログ, 建築家のひとりごと

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