『見つめよう くらしの場 ひと、まち、建築 2017』に参加して 鈴木敏之
2017年03月01日
会員の鈴木敏之さんから『見つめよう くらしの場 ひと、まち、建築 2017』文化講演会の報告です。
東御市でキビト建築設計という事務所を設立し、住宅などの設計をしています鈴木敏之と申します。のらりくらりしているうちに開所して10年を超え、ここらで姿勢を正す気持ちで、この度JIA長野県クラブに入会させていただきました。皆さまよろしくお願いします。
1月に入会し、まだ右も左もわからない状態ですが、今回、手塚貴晴氏、由比氏による松本市美術館で行われた講演会に参加したところ、現地でこのレポートを頼まれ、先輩方の仕事の早さと押しの強さに感嘆しながら、これはぼーっと聞いているわけにはいかないぞと、早速姿勢を正された次第です。
さて講演の前に、同時に行われていた長野県学生卒業設計展を拝見しました。ずいぶん久々に学生の作品を見る機会を得られることができました。若い学生は建築の箱のデザインにとらわれがちですが、周辺環境も含めた空間づくりをしている作品もあり、どれもできたら楽しいだろうし、夢がある作品をたくさん見させていただきました。学生のアイデアには驚かされるものがあって楽しいです。将来の建築家がここからも生まれることでしょう。
続いて文化講演会「建築家の仕事」についてです。手塚貴晴氏、由比氏といえば、青と赤の服装が有名だと思いますが、期待を裏切らずにその出で立ちで登場しました。仕事や育児の関係から二人で講演されるのは実に10年ぶりぐらいと話があり、今回来られたこと、幸運だなと思いました。
講演は初期の代表作、屋根の家から始まり、ふじようちえんや近作の大型の木造建築に至るまで多くの作品を紹介しながら、その建設に至るまでのエピソードを話していただき、またその合間に環境に対する考え方などを盛り込む内容でした。どれも楽しく話をされていて、会場からも笑いが溢れる場面が何度もありました。
話を聞きながら思ったことは、両氏にある建築思想が、子供であり、家族であるということです。話の中には常に自分達の子供や依頼者の家族、または園児達が登場し、その子供達や依頼者の行動や身体的スケールを建築にフィードバックさせています。人を観察し、そこから現れる自然体な建築を設計し提供しているような印象です。しかしそこには、見た目では分かりづらい努力が沢山あることは当然で、貴晴氏が時折その見えない努力の部分についても触れて話しをされていました。最後の質問時間では、質問者に両氏から書籍が提供されたりして、最後まで楽しい講演会でした。
このような機会に参加できたこと、とても感謝しつつ、所用で懇親会や翌日の卒業設計コンクールには参加できなかったこと残念に思いながらも、この日得られたものを少しでも仕事に生かせればと思います。