法規改悪
2007年04月17日
「法規改悪」(2007.04.17) 市川英一(設計室コム)
学生時代、建築基準法や都市計画法等がある事は知っていたけれど、建築の設計を左右するのは、建築家のセンスと良識だと信じていた。建築家の判断の集積が建築となり、その建築の善し悪しは住民や社会が判断するのである、と。
社会に出てショックを受けたのは、建築の設計を左右する一番の要素は法規制であることの現実であった。法規を乗り越えないと「建たない!」のだ。おせっかいにも廊下や階段の幅から窓の大きさまで決めてある。天井の高ささえ設計者が決める事ができない!
資格を与えておきながら1件毎に法律どおりか役所が「確認」をする、という!およそ設計などしたことの無さそうな役人にチェックされる。いったい何の為の資格なのだろう。そして役人の見下した「これダメだね。○○という通達知らないの!」との一言に何度撃ちのめされたことか。気がつくと、申請図面が訂正印だらけ…。法規との戦いは30年にも及び、費やすエネルギーはますます大きくなる一方である。いったい、建築の法規は設計の実際を知っている人がつくっているのであろうか?
この6月にも改悪された基準法が施行になる。法令集もっと厚くなるに違いない。理解力と記憶力は加齢と共に衰退する。今後も戦い続けることが出来るだろうか?