夏のセミナー(第1部)建築見学会/技術交流会「長野県立美術館」開催しました

公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 長野地域会

夏のセミナー(第1部)建築見学会/技術交流会「長野県立美術館」開催しました

JIA長野県クラブ 正会員建築家 久米勇一さん((株)宮本忠長建築設計事務所)から、夏のセミナー (第1部)建築見学会/技術交流会「長野県立美術館」の報告です。正会員建築家20名、法人協力会員11名、一般2名、事務局の34名が参加しました。(2021年7月30日)

 

7月30日 2021夏のセミナー 長野県立美術館見学/技術交流会に参加しました。

この夏より入会の久米勇一と申します。宮本忠長建築設計事務所に1985年に入社以来ひと筋36年目です。先ずは感想からということですので、自身については会報124号とさせていただきます。

 

長野県立美術館「NAM」/ランドスケープ・ミュージアム、清水建設・新津組JV杉山工事長より、コンクリートに含まれるアンモニア管理と、施工図作成前のスケッチによる基本的納まりの方針決めについて伺いました。「建物を造る喜びをかみしめながら」「モノ造りを優先させてくれた」と関係者へ感謝の気持ちを伝えながらも、「メッチャ辛かった」とも。

 

 

三協アルミ担当者笠井氏からは、ACW全て新型高断熱カーテンウォール(スチール、アルミ型材、木製クリ集成材)の開発と大型外壁パネルについてなど伺いました。会報124号での企画もあるようですので、詳しくは改めてご確認ください。

 

 

建築士会での講演会もあり、宮崎さんから直のお話を聞く機会が2回目となりました。直接伺った言葉と自分の感想を織り交ぜながら書かせていただきます。

 

「設計者と施工者が知っていることは違う。せっかくだから、発注者も含めひとつのチームになっていいものをつくりたい。」施工者に対しては「あまり設計図を見ないでほしい」「最終的にはよいモノができました」と。「どこまで設計者が周辺環境に対して提案できるか、10個やって1~5ぐらい」魁夷館北側のガードマンボックスも初めは一方的な提案だったそう。

雨水貯留槽施主に確認するようでは建築家の責任放棄、職能放棄だ」という考え方も聞きました。

 

 

宮崎さんの企画展示室で、新山口駅の計画「Moon Shot in “Yamaguchi”」のタイトルを「絶対に届かない」という意味でと、J・F・ケネディの「月へのロケット打上げ」という言葉から引用したと話されておりましたが、調べたところ「困難だが実現すれば大きなインパクトをもたらす壮大な課題、挑戦」という意味も持っておりました。何事にも挑戦・提案が “宮崎さんの信条” なのかもしれません。「宮崎さんはイサギヨイですね」という話しかけに、「そんなことはないよ。なかなか結論出せないんだ。優柔不断は男の特権だよ」と。

 

 

「この空間(廊下)には柱がないでしょう、キャンチなんですよ」帰ってから雑誌の図面を見ましたら、2階は根元で500厚程度、3階は850~900の片持ちスラブでした。自分もこの2階の地附山が展望できる空間はすばらしいと思っていた場所で、この美術館ができて初めて気が付いた場所でありました。

それは、今まで見えていなかった風景が建物を建てることによって見えるようになったこと。これが一種の発見であり発明のようなものであると思っています。その感動・発見をくもりなく伝えるためにキャンチにしたんだと、納得・関心の設計でありました。

 

 

3階の吹き抜けガラス面では「ここのガラスはね、ガラスじゃないんだよ。壁です」と言われ、???だったのですが、「透明な耐火間仕切壁」でガラス6枚合せの中間に発泡性のけい酸ソーダ5層を挟み込んだ総厚23mmの認定製品でした。吹き抜けに面する部分で空間的には絶対に開口部が欲しい部分で、法規・安全性を含め考えた結果の選択肢であったことにも納得がいきました。

 

 

「植栽の圃場に行って一本一本自身で確かめて選んできました」毎週の定例会議はもとより、施工者、施主、市民説明、美術館、文化庁等打合せ先は数多く、全てにご本人が出席されていたそう。また、現場途中での家具什器備品の設計も一手に受け、それぞれに相当の時間がかかっていたであろうことを想像しての所以か、私自身も影響を受け、仕事へ向かう姿勢など少しだけ丁寧になったような気がします。

 

 

 

自分もこのプロポーザルに参加しましたので、思い入れは人並み以上にあります。地元で育った子供のころからの城山公園の記憶、信濃美術館改修設計参加の記憶、東山魁夷館完成後の記憶、信濃美術館解体前の記憶、自宅から5分程度でこの場所へ行けますし、特別の思いがあるのですが、ランドスケープ・ミュージアムはこの先の私に対して相当なインパクトを与えてくれました。

最後に、長野県立美術館NAMの「NAM」とは、善光寺・南無阿弥陀仏の「南無」に掛けているのでしょうか?どうなんでしょうか。

 

 

 

 

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