第2回『環境・地域材を考える』開催しました

公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 長野地域会

第2回『環境・地域材を考える』開催しました

JIA長野県クラブ 正会員建築家 宮坂直志さん(山の辺建築設計室)より、第2回『環境・地域材を考える』-大芝高原(南箕輪村)のアカマツ林見学会-の報告です。

正会員建築家9名、協力会員3名、合計12名が参加しました。(2023年2月16日)

 

 

コロナ禍の影響でなかなか課外活動が行えなかったのですが、今回は南箕輪村にある大芝高原のアカマツ林を見学するということで参加してきました。

およそ100haの広さの大芝高原はヒノキとアカマツの混合林ですが、その大半がアカマツです。

その成り立ちは古く、130年前に尋常小学校の福澤桃十さんという校長先生が後世の村民のためにアカマツを植林したことが始まりだそうです。

その数およそ13,000本。大事に育てられたアカマツ林はその後、50haを都市公園として、45haのアカマツ林を森林セラピーロードなどに整備され、村内外の多くの方に親しまれています。

 

 

近年、長野県内でも猛威を振るっているカミキリムシを媒介してアカマツを枯らしてしまう、マツノザイセンチュウによる被害がこの大芝高原にも拡大し、10年以内には全てのアカマツが枯れてしまう恐れから、樹種転換を進めるため、アカマツの伐採という苦渋の決断をしています。

 

大芝高原のアカマツの大きな特徴は平地で大事に育てられてきたので、他の地のアカマツより直材で樹齢が100年を越し、胸高直径が60cm前後のものが多く存在していることです。

これは本当にすごいことです。写真で見てもお分かり頂けると思いますが真っ直ぐで立派なアカマツです。

 

通常のアカマツは水に弱く、曲がりと節が多いことから建築用材としては使いづらいのが一般的です。

また、現状ではチップになって燃料となってしまうか、市場に出荷してもその後の使用状況は追えません。

そんな中、村民の皆さんに目に見える形でなんとか還元できないかという村役場の想いに賛同し、

JIA長野県クラブとして何かご協力できることはないかということで始まった見学会です。

 

 

 

 

 

約1時間20分ほど森林セラピーロード歩きながらアカマツ林と伐採されたアカマツ丸太を見学しました。

普段は事務所か現場で仕事をすることがほとんどなので、森の中を歩くのは本当に気持ちがいいです。「触るとヤニが付きますよ」と言われても、見て、触れてしまうのは職業病です。

 

その後、南箕輪村役場の会議室をお借りして、今回案内して頂いた耕地林務係の宮下さんと意見交換会を行いました。大芝高原のアカマツの有効活用を含め、大芝高原の将来ビジョンについても話が膨らみ有意義な時間となりました。

 

 

そして、「村民の皆さんが大事に育て、想いのあるアカマツが大量に伐採されることは本来は異常なことで、単なる商用目的にならないように建築家は気をつけてほしい」という大先輩の松下重雄さんのお言葉に気を引き締め、今後もJIA長野県クラブとして継続的にご協力できることを模索できたらと思いました。

 

 

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