「冬のセミナー」に寄せて
2025年12月22日
2025年度「冬のセミナー」に参加された、飯田市の建築家 木下 光さん(環境プランニング)より、文章を寄せていただきました。
先日開催された「冬のセミナー」に際し、上田・長野等の遠方の皆様をはじめ、多数の方々が信州の南の孤島「飯田」までお越し下さり有難うございました。
学校建築・昭和の様式建築等、丘の上(飯田市の街並みをこう呼ぶ)の多種の建築物を見て頂き、満足して頂いたと思います。
さて飯田市を中心地とした下伊那郡は、平成の合併が進んだとはいえ、14市町村で構成され面積は四国の香川県とほぼ同じです。構成自治体は小さな自治体では400人であり1000人から2,000人位の自治体が幾つか存在します。そう、いわば中間山地域の限界集落の集合体が下伊那なんです。そのような状況の中、住民の方々は地域のあり方を模索し頑張っています。国の無形重要文化財に指定されたお祭りが一例で、幾つも山村に残っています。学会賞を受賞した浪合庁舎・浪合学校も健在です。

(旧浪合庁舎)

(旧浪合学校)
インバウンドで日本のカタログ的な観光地である京都等が賑わってますが、日本人以上に日本を知り尽くしたライシャワー大使の「日本の真の文化を知りたければ、東北に行きなさい」という言葉が、文化・地域性こそ違いますが思い出されます。
丘の上に話題は戻りますが、集合場所の隣の建物、地域の信金本店のお話です。名古屋の組織事務所らしくデザインに素都がなく、綺麗にまとまっています。だが1階のテナント、ラーメン店等を見ても完全空調・嵌め殺しの開口部なんです。それは2階の会議室然り嵌め殺し・潜水艦状態です。これは垢抜けない引き違い窓の連窓であっても、田舎らしいデザインかもしれません。
霞が関ビルを設計した池田武邦さんが、ある冬の夕方外に出れば肌寒く、女の子がコートを着ていたのを見て違和感を覚え、この様な人工環境の中に居てはストレスを感じると思ったそうです。それ以降ハウステンボス然りヘドロの海岸を綺麗な護岸に戻したり、環境面にシフトするんです。

(飯田信金本店)
また市街地の人口増加を意図したものか、高層の集合住宅の構想はいかがなものかと、夜間人口の増加には繋がりますが、憩いの休日の人口増加につながるかなと。
色々申し上げましたが、再び南信州に来る機会がありましたら、是非中山間地域を回遊して下さいませ。半日あれば車で回遊できますよ。なお信金本店の設計者は、私が50過ぎて無学を嘆き復学したおり、職場を止め半年遅れて入学し、1年先に卒業し職場にも復帰されました。頑張り屋さんなんですね。

