「地域材を語ろう」フィールドワーク に参加しました
2019年03月13日
JIA長野県クラブ 正会員建築家 鈴木敏之さんから「地域材を語ろう」フィールドワーク 産業廃棄物処理及びリサイクル工場見学の報告です。(2019年 3月5日)
長野市の株式会社直富商事に伺い、産業廃棄物処理及びリサイクル工場見学してきました。参加者は正会員9名、法人協力会員2名、行政1名、事務局1名の13名でした。
【本社工場見学(金属、古紙のリサイクル)】
本社工場は大きく本社工場と第二工場の2施設に分かれていて、まずは第二工場へ。ヤードはジャンルごとに分かれ、最も重要なのは細かく分別することで、より資源として生まれ変われるということだそうだ。社員にもその精神を教育していると話されていた。
紙類、プラ類の分別と梱包を行っていた。紙類は搬入時に縛られている紐を切断しそれから圧縮機でプレスするようになっており、設備も充実している。
本社工場見学:計量器には放射性物質測定機が取り付けられており資源受け入れには十分な配慮をしている。ちなみに放射性物質を感知したのは過去一度だけだそうだ。
本社工場では、主に金属類の分別回収が行われていた。回収された鉄を切断するギロチンは迫力満点。
アルミ缶の回収も行われていたが、選別機で鉄類と分けられた後プレス機で圧縮される。その一連の作業も見せていただいた。概ね10kgごとにプレスされていた。新しいアルミは生成に多くの電力を使用する。
リサイクルすると数分の1の電力で再生されるため、アルミのリサイクルはとても重要と伝えていた。
電線類はケーブルを綺麗に除去し、内部の銅を細かくして採取していた。大掛かりな分別機械が利用され、ケーブルに付着した微細な銅も回収していた。ドラム缶一つ分回収で約60万円相当になるそうだ。 その他にもフロンガスや消火器、バッテリーなど通常処分に困るものもここでは回収し、リサイクルする作業が行われている。
【リサイクル資料館見学】
リサイクル啓発に取り組む資料館「なおとみ資源の森」を見学した。
3階建の新しい施設で、ここでは映像による直富商事の取り組みを観た後、2階エリアの身近なものの資源化やリサイクル方法、3階エリアの未来につながる資源の回収(都市鉱山)など、小学生でもわかりやすい内容で紹介をしている。再資源化に関してとてもためになる施設である。恥ずかしながらグラスウールがガラス廃材からできていること知らなかったデス。
映像で流れていた社訓「気がつけ、気がきけ」は設計にも言える良い言葉だと感心した。
【市場事業所見学(廃油、生ごみのリサイクル)】
本社工場から車で移動し、市場事業所の見学をした。
ここでは廃油の回収、ペットボトルの梱包や発泡スチロール製品の圧縮、生ごみの堆肥化装置を見せていただいた。発泡スチロールが板状に圧縮され再利用されることは初めて知った。
生ごみは市場から出るものを利用しているため、加工品は含まれていないとのこと。回収量は少ないようだが事業が幅広い。資料でいただいた、なおとみ資源の森のリーフレットには「すべての廃棄物を再資源化するために」と書かれている。本気度が伝わる。
【秋古工場見学(産業廃棄物中間処理施設)】
最後に車で移動した秋古工場は、回収車が荷降ろして、分別する施設は今年2月に竣工した真新しい施設だった。また敷地内には焼却炉もあり、分別して最後に残った焼却できるもののみ焼却している。
中間処理施設なので建設廃材含め、持ち込まれるものは多岐にわたる。その中でも石こうボードの再資源化については参加者から質問が多くあった。基本的に新材の端材以外は石こうボードへの再資源化は出来ないようだ。古材のうち綺麗なものは石こうはセメントの材料の一部として利用される。細かいものや汚れがひどいものなどは、紙が含まれ、石こうも硫化水素を発生するため管理型最終処分場行きになるとのこと。
コンガラが再生砕石になることは常識だが、窯業系サイディングも再生砕石にしているとのこと。ただしメーカーによっては再資源木材を練りこんだものもあり、全てが当てはまらないそうだ。秋古工場の方から説明していただいたが、こちらの質問に対して的確に答える。建築に関わる人より、建築材料に詳しいのではと思うくらいだ。
秋古工場で解散だったが、予定の時刻を過ぎてもみなさん話が止まらない。処理にしても再資源化にしても多量の廃材を発生させる建築の世界に関わるものとしては、知らないでは済まされない部分もある。
限られた時間の中であったが、知らないを埋められたところもあって良い見学会、勉強会だった。また、直富商事さんの社員への教育、リサイクルへの取り組みの情熱には感心せざるを得ない。見学に際しては大変お世話になり、ありがとうございました。
最後に。
直富商事さんにお願いするとTポイント貯まるそうですよ。