会長からのひと言

公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 長野地域会

会長からのひと言

会長からのひと言(2009.05.01) 赤羽吉人

 

新年度が始まって1ヵ月、人によってはもう連休に入っているかもしれませんが、相変わらず寒暖の差が激しい天候が続いています。長野市の善光寺では丑と未の年に行われる御開帳に大勢の参拝客が訪れ、参道沿いを中心に大いに賑わっています。

 

連休明けの5月9日(土)には2009年度通常総会と、建築家資格制度のオープン化をテーマとする会員集会が開かれます。半数を超える会員の皆さんから出席の返事を頂いているのは、総会という最も大切な会議だけでなく、会員集会で取り上げられる資格制度が私達にとって大変重要な問題であることを示唆しており、会員の皆さんがその問題を真剣に捉えている現れであると心強く感じております。

 

JIAがその組織内に登録建築家制度を立ち上げたのは、いずれUIA国際基準に準拠する国家資格としての建築家資格制度を我が国に於いて実現するための第一段階としての位置づけでした。まずはJIAという民間団体で建築家たる有資格者が一定数参加登録し活動を継続しているという実績を築いたうえで、第二段階としてJIAの枠を取り払い、志を同じくする多くの設計者の参加を求めて制度を拡大し、それを背景に第三段階として究極の目標である国家資格としての建築家資格制度を実現させるというシナリオが用意されていました。

 

登録建築家に率先して登録した多くのJIA会員は、それがいずれは国家資格になることに期待を込めてこの制度の揺籃期を支えていくことにしたはずです。2年半後に迫った2011UIA東京大会の開催も、この制度の確立に追い風になるかに見えていました。

 

ところが、建築士法改正を背景に専攻建築士制度を基軸に据えた資格制度の推進に舵を切った建築士会とJIAとの間では明確な施策の差異が生じ始めています。また建築士会と建築士事務所協会は建築士法上の登録機関としての指定(一部知事指定)を受けたことで会の存立基盤が強化されており、そういった法的裏付けとは無縁のJIAとの差別化が計られていることで「JIAは眼中に無し」との印象さえ伺えます。

 

このある意味逆境の中でJIAとして採るべき施策は「一喜一憂せずゆったりと王道を行く」というかなり明確なものだと思うのですが、残念ながら本部実務委員会から打ち出される方針には多くの「ブレ」が感じられます。とりあえずの成果を求めるのは結果としてマイナス効果を生むだけに終わるのではないかと危惧されます。

 

今回の会員集会はこういった状況下での開催となります。伊平支部長、上浪副支部長による経緯説明を受けたうえで、JIAに拘らず日本の建築家資格制度はどのようになっていくのか、私達はどう対応すべきか、を考えていく場として役立てて頂きたいと考えています。群馬、新潟両県の地域会からも参加して頂きます。

 

この建築家資格制度の問題は、最終的には建築基本法や設計者選定法等と密接に関わり合って初めて有効な施策となるとの見方もありますが、現時点で有効な建築家職能確立に向けた様々な活動の中ではとりわけ大きなウェイトをしめる問題であると思います。私達にとって避けて通れない大切な問題を考える場に貴方も居合わせて下さい。私達が胸を張って「建築家」を称するためにも、こんな貴重な機会を逃す手はありませんよ。

 

 

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