JIA長野県クラブ「代表日誌」2022年1月
2022年01月11日
JIA長野県クラブ 新井 優 代表より「代表日誌」が届きました。(2022年1月11日)
明けましておめでとうございます。
それぞれに晴れやかな新年をお迎えと思います。
私事ですが、年々お正月気分が薄くなる限りで、我が家の定番のお正月料理を家族で囲む事が一番の正月となりました。
さて、前回の代表日誌は10月のままで筆が止まっており大変申し訳ございません。10月からの代表の勤めを簡単にまとめました。
【10月12日】『JIAの日』仕事を語る会(旧小諸宿脇本陣 粂屋にて)
小諸市は街なかの伝統建築を買い上げ、市費でリノベーションしてまちづくりに活かしている。粂屋のリノベを手掛けた甘利享一さんの実際のお話は、コストも含めて大変勉強になった。長引くコロナ禍で経営的には苦労しているが、このような施策の広がりで小諸市には若いIターン者が店舗を構える事例が増えているそうだ。(SBC番組でも特集していました)
昨年度の建築士会や県の建築賞を総なめにした鎌田賢太郎さんの佐久の家は、周辺の地形や環境を上手くプランに活かした秀作。実際にお伺いして室内と外部の繋がりを体験したい。
旧小諸宿脇本陣 粂屋
【10月13日】第一回選定議員会(松本市勤労者福祉センター)
早いもので、自分が代表を頂いて二年。次期代表に上手くバトンを渡すためにも、最後まで気を抜くこと無く自分の任期を全うしたいと思います。
【10月15日】「信州の建築家とつくる家 第17集」編集会議(Web)
【10月22日】信州型ゼロエネ住宅専門委員会議(Web)・ JIA環境委員会出席(Web)
信州型ゼロエネ住宅の会議とJIA環境委員会の会議とは、私の中ではリンクしており、単純な住宅ZEH仕様の策定に留まらず、地方の特性をどのように盛り込んでいくのかを進言しています。
特に木質バイオマスの一次エネルギー不算入については、JIAカーボンニュートラルセミナーの場でも情報発信に努めています。信州において、都会のど真ん中と同じ基準で家づくりしていく事は大きな違和感を感じます。
【10月23日】当会の長島三夫さんが社員研修で飯田の原風景『大平宿』に宿泊されるとの事で、夕食を共にさせて頂き、建築を語り合いました。女子スタッフに囲まれて長島さんは良い環境で仕事をされていますね。
【10月26日】信州の木建築賞二次審査(Web)
要綱の問題で、庁舎建築と住宅作品を同じ土俵で審査する事になったが、最後は作品の質で厳しく審査を進めた。受賞した作品はどれも力作揃いで、Web審査となり実際に現地を見られなくて残念だった。当会の受賞者の皆さんおめでとうございました。
【10月29日】上田情報ビジネス専門学校 雑学講座
講師は山田健一郎さんに務めて頂きました。自身の体験を交えながら、建築家として育つ過程を学生と共有しながら作品を語る説得力のある講座になりました。本年度の卒業設計が楽しみです。
上田情報ビジネス専門学校 雑学講座
【11月2日】事業委員会(Web)
第16回 建築祭 本年度は是非リアルで開催したい事が全員の思いです。
【11月9日】JIA選定議員会・第3回幹事会・技術交流会・建築家の日常を語る会(松本市勤労者福祉センター)
コロナも急激に納まり、久しぶりにリアルで『JIAの日』をフルに活用した活動が出来た。特に『建築家の日常を語る会』については、長野県クラブらしい話合いが出来たと思います。このような本音で語り合う機会が、コロナで失われている点が一番の問題点だろうと痛感。
建築家の日常を語る会
【11月11日】JIAカーボンニュートラルセミナー視聴(Web)
次回は司会をせよと指令がでており、内容より進め方に注力した。
【11月12日〜13日】予定では滋賀方面研修旅行を計画していましたが、コロナ禍の為に延期とさせて頂きました。本当に残念です。滋賀方面から若狭方面は建築の宝庫で面白いコースを計画していました。アフターコロナでは是非多くの会員で行きたいですね。
【11月16日】信州の木建築賞 表彰式
【11月22日】信州の建築家とつくる家第17集 校正会議(松本市勤労者福祉センター)
初校データを本の様にのり付けして、編集メンバーで全体の校正を行う。例年はこのような校正は行っておらずで、昨年の参加者の意見に基づき内容を精査した。
【11月25日】出版個人面談・JIA地域サミット参加(Web)・JIAカーボンニュートラルセミナー(Web)
【11月29日】長野県BIM意見会議(欠席)
BIMの活用についての意見交換会だったが、BIM活用に取り組んでいる当会のメンバーの皆さんは東京建築士会主催のBIM勉強会に参加のため、出席適任者がおらずで欠席とさせて頂きました。(私自身もBIMにはちんぷんかんぷんです)
【12月3日】JIA冬のセミナー
まちなみウォッチング「茅野市 糸萱集落・板倉の里」〜松下さん設計の保育園リノベーション〜昼食会「割烹森の家」〜高部公民会見学会〜技術交流会
一日をフルに使用して、良い勉強と交流ができた。特に糸萱集落の板倉群は嫁入り道具で倉を運んできたり、倉と主屋の構成が地域の気候とも関連しており、先人の知恵を学ぶことが出来た。高部公民館は災害より見事に復旧され、区民に大切にされている事が嬉しかった。
糸萱集落
高部公民館
【12月7日】JIA事業委員会(Web)・JIAカーボンニュートラルセミナー 事前打ち合わせ
今回のセミナーは木質バイオマスをテーマに東北大学の三浦秀一教授と、北海道の武部建設社長の武部豊樹氏を講師に行われた。8月のセミナーで木質バイオマス熱利用が再生可能エネルギーとして算入されない問題提起をさせて頂き、今回のセミナーに繋がりました。
木質バイオマス熱利用については、木材利用の本質論とは別の部分での問題を様々抱えており、今後JIA長野県クラブ内部でも話し合って行かなくてはならないと思っています。
【12月16日】JIAカーボンニュートラルセミナー(Web)司会役を務める
【12月22日】木質バイオマス協会(Web)セミナーに事例報告者として参加
【1月6日】JIA長野県クラブ 選定議員会・正副代表会・懇親会(松本市勤労者福祉センター)
新たな次期新代表として林隆さんにバトンを引き継ぐ事になりました。人心も一新して若々しいメンバーで2022年度が始まろうとしています。
コロナ禍で明け暮れた2年間でしたが、どの地域会や他会よりも先駆けてWeb会議方式を導入することが出来ました。『会の運営に関わる会議はWebにて、活動はリアルで』を基本として、『共に(友に)学ぶ』ことを目標として、JIA長野県クラブとして、一人の建築家として、お互いを高めていけると思い2年間突っ走ってきました。
但し、懇親会や交流会を通しての本音で語り合う機会はリアルが必用で、その時間が多くは用意出来なかった事はコロナ禍での活動の限界でも有りました。
最後まで気を抜かずに、建築祭や総会、会員集会をきちんと運営して、次期代表にバトンをお渡ししたいと思います。会員の協力に対する感謝の辞はまだ早いので、今後ともよろしくお願いします。
【1月7日】事業委員会(Web)
建築祭運営の計画と、コロナ対応についての意見交換
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このような感じで、代表として勤めておりますが、1月5日頃からの急激なコロナ蔓延増加で雲行きが怪しくなってきました。
素直に恐れて、きちんと感染対策を行いつつ、リアル開催を目指す事が基本ですが、JIA長野県クラブとして決めた、レベル3で検討に入る。レベル4で開催方式を決める。でしたが、当方の飯田ではいきなりレベル5で、今後の感染カーブの動向に注目です。
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さて、アフターコロナやwithコロナは、明るい社会が到来するものと勘違いしていました。円安や原材料の高騰やらが原因と言われていますが、急激な住宅のコストアップ(20%以上でしょうか)により、設計見積を依頼しても到底追いつく数字は出てきません。
当方も昨年末に二軒の住宅の受け渡しを抱えており、オマケにその二軒共に住宅取得資金の贈与税の減免措置を行う為には12月までに請負契約、加えて3月15日までに上棟を終えるとの非課税措置の日程に滑り込ます為に胃の痛い年末をおくりました。お金は合わない+木材は来ない。の二重苦はなんともなりませんが、救う神もありで、何とか二軒共に請負契約まではこぎ着けて、平穏な正月を迎える事が出来ました。
ウッドショックや住宅コストの急激な上昇、ZEH等の性能設計。それらの補助制度に期待するクライアント。等々で、今回のアフターコロナ時代の住宅設計は、コロナ前とは全く違う世界となっており、まだまだどのように進めていけるかの方向性は掴み切れていません。
こんな時こそ、会員の皆さんで“本音で語り合い”明日への勇気をお互い持ち帰れるような交流を行いたいと思っています。ご協力をよろしくお願いします。
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最後に、『今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第三次報告案)及び建築基準制度のあり方(第四次報告案)について「脱炭素社会の実現に向けた、建築物の省エネ性能の一層の向上、CO2貯蔵に寄与する建築物における木材の利用促進及び既存建築ストックの長寿命化の総合的推進に向けて」』に関する意見募集について—–でパブコメを応募しました。
『再生可能エネルギーの記述には太陽光発電のみ記載されているが、人類の長い歴史の中で、『木質バイオマス熱利用』や『太陽熱集熱による熱利用』も、日本人としては再生可能エネルギ-としては肌間隔で認識していると思います。特に『木質バイオマス熱利用』は、建築用材としての地域材利用と一体化した木材循環利用に位置付けられ、地域材利用と木質バイオマス熱利用が再生可能エネルギ-として算入されない状況が続くと、日本の山の木で家をつくる大義が失われていく危険性を感じます。昨今の住宅コストの急激な上昇の中でのコスト配分がZEHとして一次エネルギー削減に寄与されないコストは削られていく。
但し、木質バイオマス熱利用が都市部において難しいとの意見も多いが、一次エネルギー削減計算に、地域の実情が配慮できる仕組みを是非用意して頂き、多様な資源とエネルギー利用が日本独自、地域独自で考えていける仕組みを用意頂きたい。その方向性が地方の魅力を高めていけると確信します。(木質バイオマス熱利用については、暖房、給湯共に二酸化炭素排出ゼロカウントを希望します)