JIA長野県クラブ「代表日誌」2018年7月
2018年08月06日
JIA長野県クラブ 荒井代表より「代表日誌7月」が届きました。(2018年7月31日)
7月5日、19日
松本安曇野住宅建築展の準備会議
テーマが『私の小屋』に決定し会場構成を話し合いました。美術館との協同企画の『子供のためのワークショップ』の内容も竹を使ったドームを作ることに決定し、8月2日に試作を美術館で行います。12回目となると知名度も高くなり、新たな仲間集めの役割を果たしています。伊那地方でも同じような建築展が開催されており、JIA以外の建築家との交流の場になっています。長野県全体にこの活動が広がることを希望します。
7月9日
13:00より広報委員会
幹事会で決定された建築家通信の紙媒体での発行に応じて、内容の詰めを行いました。
そもそも経費削減を目的に紙媒体からHPのみに掲載する提案をしたという前提があるため、発行回数を年2回としてデザイン会社と交渉した結果、少し予算削減できることになりました。発行回数や発行媒体に関しては試行錯誤を繰り返して、より良い方向に持っていくことが良いと考えています。
後から開かれる出版全体会議の準備がその他では大きな議題となりました。昨年と同様の内容に加え法人協力会員の記事広告を載せてはどうかという意見が出され、今まで貫いてきた協力会員に金銭的に頼らない出版を前提に、住宅建設に役立つ情報を載せるのは本の内容の充実につながると言う結論に至り今年は広告を募ります。
15:00より出版全体会議
出版は会員の自費出版事業ですから、私も一会員としての参加となります。県クラブは監修という立場で、広報委員会が内容のチェックを行います。
制作の飯田さんに東京からおいでいただき、参加者との初顔合わせを行いました。会員からは写真の扱いに関して様々な意見が出されましたので、今回の出版で反映されるのではないかと期待しています。きちんと意見交換してより良い雑誌になるよう皆で協力していきましょう。
『信州の建築家とつくる家vol.14』の巻頭特集は「素材を味わう空間」です。素材そのものにフォーカスするのではなく、信州ならではの素材を建築家の力で魅力的な空間つくりに利用した例を紹介します。どんな作品が集まるか楽しみです。
7月17日
JIA関東甲信越支部 地域サミット
東京の建築家会館にて本年度第一回の地域サミットが開催されました。今年から支部委員会委員長会議が同時に開催されることになったようですが、始めて参加する私には差が分かりません。はっきりしたことは県域の地域会の発言できる場ではなかったことです。往復6時間かけて自己紹介しただけで終わりました。東京地域会と県域の地域会とでは抱えている問題が違うため、同じ土俵で話し合うのは難しいのではないかと想像していたのですが、そこに委員長まで加わったのでは焦点がボケボケで身のある会議とはいえませんでした。折角時間をかけて各県から集まっているのですから、ぜひ他県の代表との情報交換の場にしてもらいたいと思います。今のままならweb会議で十分です。
7月18日
全国卒業設計コンクール実行委員会web会議
全国卒業設計コンクール2018の反省会が開かれました。皆さんベテランになり全体的に大変スムーズな運営だったと思います。本会事業でありながら本会からは全く予算が付いていない現状を打破するために、理事会に対して交通費だけでも補助をして欲しいという要望を出すことに決まりましたが、全額出資という強い態度で臨むほうが良いと私は個人的には思っています。本会事業の中でも公益性が極めて高い誇るべき事業のはずですから胸を張って全額要求すべきです。
後任の北村さんに橋渡しが出来ましたので、これで実行委員会から卒業させていただきます。
7月21日
JIA長野県クラブ夏のセミナー
夏のセミナーの前にまちづくり委員会正副委員長会議が諏訪湖ホテルのラウンジで開催されましたので、参加させてもらいました。池森委員長のお力で活発な意見交換が行われました。やりたいことがありすぎるというのが分かり、整理するのが大変な状況でした。張り切りすぎないよう、出来ることから進めていって下さい。会員の交流、行政や林業関係者との交流、どちらもよろしくお願いします。
恒例の夏のセミナー、今年は武藤章先生設計の『白樺湖 夏の家』を、工学院大学鈴木敏彦教授の案内で見学したあと、諏訪湖ホテルでの納涼会でした。見学会、納流会ともに多くの会員に参加していただき盛大に開催できました。ありがとうございました。
夏の家では武藤先生の愛弟子、南迫工学院大学名誉教授が武藤先生の思い出と共に建物の設計の話をして下さり大変勉強になりました。2階まで続く斜め天井が湖を眺めるために出来たものだとお聞きし、なるほどと外を眺めましたが残念ながら現在は大きく育った樹木に邪魔をされ湖は見えませんでした。案内して下さった鈴木先生に冬の様子をうかがうと、葉を落とした木々の間から湖を眺めることが出来るそうです。冬の家の方が良いのでは?
アアルトに師事した武藤先生の設計は、これ見よがしな力みがなく、何気ない外観からは想像できない豊かな内部空間が作られており、私の設計もこう有りたいと強く思いました。
7月25日
第一回事業委員会+信大建築科第5課題講評会
信州大学の4年生の最終課題の講評会にあわせて事業委員会を開催しました。
事業委員会は建築祭の開催が主な活動ですから、いつもどおりに活動する事になります。昨年から始めた会員作品展(昨年は宮本忠長先生の特別展)の有り方に関して、今後継続して考えていくことになりました。交流委員会とのすりあわせが必要となりそうです。
午後から信大建築科第5課題講評会に参加しました。
最近は審査員にJIA枠を取っていただき投票権を与えてくれました。審査は事業委員長の山田さんにお願いしました。
審査は審査員が作品を見て回る形式です。
今年の作品はよく言えば粒ぞろい、悪く言えば突出した作品がありません。しかし全体の出来栄えは上々です。皆さん努力したあとがうかがえ好感が持てます。
金賞は糸井梓さんの『八ヶ岳に生きる』
牧場と道の駅を合わせた観光施設です。間違いなくこの作品が一番完成度が高く優れた作品だと思いますが私の評価は銀賞です。あえて言わせていただくとこの作品はちょっと牧歌的過ぎるのではないかと思います。あと少し問題意識を持って取り組んでいれば文句なしの金賞です。自然エネルギーの利用に馬糞を使うことを考えているようでしたから、そこらへんをもう少し深く掘り下げてもらいたかったと思います。ただ、他大学では問題意識ばかりが先立って建物が形になっていなかったり、説明を聞かなければ理解できない作品が多くなっているなか、この作品は設計がきちんと行われており美しい形が表現されており私は好感を持っています。
銀賞は秋山由季さんの『終わりと始まりの場所』
埼玉県深谷市の煉瓦工場跡地に残るホフマン輪窯を復元コンバージョンして新たな観光施設にしようという計画です。
非常に力の入ったレベルの高い作品ですが、コンバージョンの仕方が激しすぎると言うか折角の復元をないがしろにしているような印象を受けました。惜しい。私の中では銅賞です。
銅賞は水木直人くんの『虚実の境界』
札幌市郊外の採石場跡地を利用して葬送空間を作るという作品です。
凝灰岩は採掘しやすく垂直の壁を容易に作れる特長があります。その採掘後の空間に葬祭場を作っているのですが、残念ながら施設の全容がこちらに良く伝わりません。しかしながら着目点は大いに評価でき可能性を高く感じたので私の中では金賞です。
石の断面を建物の壁に直に利用することをもう少し積極的に考えたらたぶんもう少し成績はアップしたと考えられます。