新潟研修旅行の報告 ② (カトリック 新発田教会)
2025年07月03日
JIA長野県クラブ 法人協力会員の黄マサオさん((株)カネト)から『新潟研修旅行の報告②』です。
【カトリック新発田教会】
カトリック新発田教会は、1931年に創立された歴史ある教会であり、現聖堂は1966年、日本近代建築の先駆者アントニン・レーモンドの設計により竣工した。レーモンドは戦後日本において、地域の文化や素材を生かした温かみのある建築で知られ、本教会でもその特徴が随所に表現されている。
聖堂内部は対面式ミサを意識し、祭壇を中心に半円形に信徒席が配置されており、神父と信徒が一体となる空間構成がなされている。
建物構造は煉瓦と新潟県産の杉丸太を組み合わせたハイブリッド構造で、力強さと柔らかさが共存する独特の佇まいを醸し出す。また、ステンドグラス風の窓には和紙が用いられ、柔らかな光が空間を包み込み、静謐で温もりある雰囲気を生み出している。
内部にはレーモンド夫妻の手による聖水盤や椅子も配置され、細部までデザイン性と機能性が両立している点も見逃せない。
この建築は2004年、日本建築家協会のJIA25年賞を受賞し、耐久性と意匠の両面で高く評価された。
さらに、地域社会との関わりも深く、隣接する聖母こども園との協働により、教会は単なる宗教施設にとどまらず、地域の子どもたちや市民が集う文化的・教育的な拠点として親しまれている。