『信州の建築家とつくる家 第21集』発刊によせて

公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 長野地域会

『信州の建築家とつくる家 第21集』発刊によせて

『信州の建築家とつくる家 第21集』発刊にあたり山田健一郎代表からのメッセージです。

 

JIA長野県クラブの「信州の建築家とつくる家 第21集」2025年度の新刊は、新たに信濃毎日新聞社に発売元となって頂きました。充実した販路でより多くの皆様にお届けします。

2025年の建築、特に住宅の設計や建設における大きなトピックは、4月に施行された建築基準法(確認申請の審査)の改正です。度重なる震災を教訓にした構造耐力の厳格なチェックと、脱炭素社会の実現を目指す省エネ適合のチェックが、木造住宅にも求められる様になりました。

建築家は、建築主の夢を体現する家をつくってきました。勿論、これからもそうであり続けたいと思います。

例えば、明るく開放的な開口部を計画する際には、ビル用の大型サッシを住宅に取り付けたり、ディテールを検討して大きなガラスを嵌めこんだりの工夫をこらしてきました。法改正により、断熱性能に優れた住宅用アルミサッシや木製サッシ、既製品の玄関ドアの採用がほぼ必須となり、明るく開放的な大きな開口を実現するには、それ相当のコストがかかり、諦めざる得ないケースも出てきています。建設コストとのバランスの中で、壁の面積が大きく小さな窓の量産住宅も散見します。

省エネ適合には、高性能な集中熱源の暖房や、エネルギー効率の良いルームエアコンが求められますが、信州の家に多く見られ脱炭素社会にも有効な薪ストーブは、省エネ適合審査において配慮されないのは残念です。
断熱性能とエネルギー効率に優れた家は、これからの社会が目指すテーマのひとつですが、「人の住まい」としての住宅で、五感に寄り添う気持ち良さや、光や風を感じる心地よさを失ってしまってはならないと思います。

未来の社会のあり方を考える一方で、「住宅のあるべき姿」を追い求める建築家の考えや実例のなかから、建築・住宅にとって大切な何かを読み取って頂ければ幸いです。

 

2026年3月
公益社団法人 日本建築家協会 The Japan Instisute of Architects(JIA)
関東甲信越支部 長野地域会(JIA長野県クラブ)
代表 山田 健一郎

 

 

 

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