JIA長野県クラブ「代表日誌」 2017年3月
2017年03月31日
JIA長野県クラブ 山口代表より「代表日誌」2017年3月 が届きました。(2017年3月31日)
3月2日
第8回支部常任幹事会:通常の会議より2時間早めて15時から開催した。
先週に引き続き主な議題は支部改革の中の「委員会」について財政基盤も含めた検討を行った。現在19ある委員会の改変(改廃)も含めて以下の意見が出された。
- 「総務」「相談支援」「教育文化」「都市環境」の4分野に統合し必要性を検討する。
- 公益法人化の際に本部から降りてきた国際・災害・環境・都市まち・建築まちの5委員会の必要性を検討する。
- 支部大会と他の支部行事の扱いの再検討。
- 改変の検討にあたっては委員長会議で各委員会の状況を聴取し協議検討する。
- 分野ごとに委員会の予算管理を統合し決められた予算内で配分調整する。
- 委員会の改廃は遅くとも10月の役員会に上程する。
その他には協賛費・公的資金などの効果的な依頼方法の検討と3月中に各地域会に対し支部長名で支部改革についてのアンケートを実施することになった。
総務委員会からは準会員の所属地域会及び地域会所属の協力会員の確認と手続きの明確化について、2018 JIA全国大会実行委員会の構成と立ち上げを確認した。
3月8日
藤松副代表、丸山事業検討WG副委員長と岐阜県森林文化アカデミーを訪問する。
温熱教室の最終日に参加者にアンケートを行い、WGでも反省を兼ねた意見交換を行っていた。その後冬のセミナーと建築祭が控えていて次年度の方向を決めるまでには至っていなかったが、とにかく辻先生に相談するところから始めようと言うことになり訪問した次第だ。
環境とは違うテーマにした方がいいという意見もあったが、アンケートでは今年と同様でなくとも環境に関しての関心が高いように感じた。
そこで回数は3〜4回に減らすこと。忘れた人(私のこと)もいるかもしれないので、第1回は今年の復習編にしていただきたい。今年を中級基礎編とすれば、来期は中級実践編が可能かどうかなどの検討を行い、先生から以下のたたき台案が示された。
第1回 6/17(土)「温熱教室の復習」
◆ 忘れてしまった方、新たに受講される方の為に。
・2016年度の温熱教室の振り返り
・計画の流れや、簡単な計算演習など
第2回 7/22(土)「外皮性能(断熱、日射制御、防露)の演習」
◆ 少し実務に応用できる訓練。
・ 設計仕様を変化させた場合の性能の変化
・方位を変化させた場合の性能の変化など
第3回 9/16(土)「エネルギー性能の演習」
◆ 実務に応用できる訓練。(設備器具などの仕様中心)
・外皮性能の変化による暖冷房エネルギーの変化
・設備性能を変化させた場合の変化など
第4回 11/18(土)「総合的な計画演習」
◆さらに実務に応用できる訓練。(施主との打ち合わせ用)
・環境家計簿による実態分析
・外皮性能の室温変化
・エネルギー性能による光熱費の変化など
会員向けに17日締切のアンケートをとり、27日の拡大総務委員会で方向を決めたい。
3月12日
新潟県大学卒業設計コンクール:19回を数える県下4大学による卒業設計コンクールに審査員として参加した。
各大学から選抜された12作品がノミネートされており、午前中は作品の読み込み後一次審査の投票を行った。昼食後、特別審査員の末光弘和氏による「風のかたち、熱のかたち、建築のかたち」の講演が行われた。風・水・熱など目に見えない自然環境をコンピューターを駆使して可視化し、自然循環系と建築の関係を表現することで、環境時代の新たな建築のあり方を創造する、という氏の設計手法を作品の紹介を通して解説された。
第2部は一次審査の投票を元に6作品を選出し、公開プレゼンテーション、公開討議を経て二次審査の投票を行った。得点は非常に拮抗していて、結局2回目の投票で林恭正さんの「汽笛の鳴る街」が金賞に選出された。ふるさと尾道の造船工場群と背後の住居地域を関連付け、活性化のための新たな関係性を生み出すというものであった。時間をかけて作り込んだ模型は迫力があり最終的に高い評価を得た。私が推した「記憶の象形、都市化する境界」-宮古市田老地区の10mの防潮堤を建築化する計画が入賞できなかったのは残念であった。
かねてより当会の審査員経験者から聞いてはいたが、新潟は4大学が互いに切磋琢磨して質の高い計画が揃っているという印象であった。
3月13日
支部災害対策委員会:今年度最後の委員会にWEB参加した。
委員長、副委員長、藤沼支部長、岡部本部災害対策会議議長、東京の地域会から3名、県域の地域会から2名の参加で意見交換した。
今年度の活動内容の確認と今年度で任期が終了する中山委員長の後任問題、そして委員会活動の方向性の議論を行った。
次年度以降の委員会の活動方針は事前に中山委員長から各委員に出されていて、渋谷の南條さん、新潟の近藤さんから意見が寄せられていた。支部24地域会すべてから委員を出すのは無理がある、特に東京の地域会は非常に難しいこと。応急危険度判定のようなマンパワーを必要とする災害支援を求められても地域会では対応できないし、すでに県域では建築士会を中心に枠組ができているのではないか、という意見である。
支部長からは現在本部と支部の役割のあり方を検討しているが、委員会の意向も考慮して反映させたい旨の発言があり、他には主として東京の委員から首都直下型地震への対策の意見が出された。私からは長野県の状況を説明し、本部・支部・地域会の役割を明確にすべきではないかと申し上げた。
議論が迷走しているように見えたので、自分の意見をまとめて委員長にお伝えすることにする。
3月15日
13日の委員会を受けて、かねてより今までの委員会活動や災害支援活動を通じて考えていたことを整理し、JIAとしてどのような方向で対応すべきかをまとめて中山委員長に送った。
以下に本部・支部・地域会の役割を記した部分をここに掲載します。会員の皆さんのご意見をお寄せいただきたい。
【全国災害対策会議】
- 担当理事を置く
- JIAに相応しい活動のあり方を模索し方向を決める
- 全支部・地域会をまとめ発生した災害対応にあたる
- 海外の大規模災害支援にあたる
- 地震毎、自治体毎に異なる被災度認定の基準の統一を国に働きかける
- 全国の地域会に講師を派遣し被災度認定基準の講習会を開催する
- 建築士会のヘリテージマネージャーとの相互認証を行うとともに文化財ドクターの普及を計る
- 事前復興運動を全支部・地域会に啓蒙する
- 士会連合会及び日事連との連携を計る
【関東甲信越支部災害対策委員会】
- 都の各種の団体連絡会に参加する
- 首都直下型地震への行政・他会・研究者・他業種団体との連携を計る
- 上記において他支部からの応援を仰ぐ場合対応にあたる
- 支部1都9県下で災害が発生したときは支部本部長(支部長)をサポートし対応にあたる
- 50代・40代の若手を育成する
- 委員を全域から公募するが主体は東京・埼玉・千葉・神奈川の会員とする
- 基本的に首都直下型地震への対策にあたる
- 常任幹事会に担当幹事を置く
- 3県においても東京同様の県との連携を模索する
【地域会】
- 応急危険度判定士の普及に努める
- 被災度認定基準の講習会を開催する
- 都道府県単位で他会に呼びかけて行政との連携を模索する
- 応急危険度判定
- 住宅相談
- 被災度認定
- 現在文化財ドクターの講習は大都市圏に限られていると認識しているが、地方の場合はヘリテージマネージャーも含め資格取得の普及に努める
- 行政と連携して一般公開の防災シンポなどの啓蒙活動を行う
3月14日
JIA本部に私の地元の佐久の法律事務所から建築紛争への協力の依頼があり、筒井専務からの要請で話をお伺いすることになっていた。全く経験のない私だけでは不安なので、上田の裁判所の調停員を長年務めている長島さんに同行を依頼し、今日訪問し話を伺った。
依頼者も同席し今までの経緯をお聞きし、資料に目を通したうえで意見交換を行った。どこまでの協力ができるか今のところはっきりしないが、追加資料の請求をお願いし、4月上旬に現地を確認する約束をして別れた。
守秘義務があるので具体的な内容をここに記すことはできないが、長野県クラブとして“建築相談”の扱いはこの10年来の懸案であったので、今回基本的にお受けした。
いきなり紛争になりそうな事案で少々困惑しているが、当会にその資格があるか、またこれからの新たな活動の可能性を探る試金石としてお受けした次第です。
とは言っても、あまりにも過大な負担になる可能性もあり、とりあえずボランティアとして対応していくことになる。建築相談は建築士会で行っていて、私も佐久市の担当で1例だけ相談にのったが、ほとんど依頼がない状況だ。また今回の事例はいきなりハードルが高いし、ということでこの経験を生かしながら時間をかけて模索して行くということだろう。
3月16日
石川地域会の清水会長から5月26日に、外国人の軽井沢建築ツアーのアテンドの依頼があった。
NYタイムズのサイトで紹介されていた軽井沢のモダン建築に興味を持った観光客を案内するというもので、広瀬さんに案内役をお願いし承諾していただいた。
石川地域会では建築ツアーのアテンドを事業として行っているそうで、地元のアート関連の旅行を扱っている会社の依頼で、私の方に紹介していただいたという経緯である。
サイトで紹介されていたのは「千住博美術館」、星野リゾートの「石の教会」と住宅5軒だが、住宅はハードルが高いが他の用途の建築を中心に広瀬さんと選定し、施設との交渉を行うことになる。
当会のこれからの収益事業を検討する上で、良い経験になると判断しお受けすることにした。広瀬さんよろしくお願い致します。
3月21日
プライベートな旅だが、悪天候の中伊勢神宮に参拝し、去年の文化講演会の講師を務めていただいた栗生明氏設計の「せんぐう館」を見学した。平成25年に行われた第62回神宮式年遷宮を記念して外宮に開館した博物館で、式年遷宮の祭典や装束・神宝の展示、社殿造営の制作工程や外宮正殿の原寸模型などが展示されている。
原寸模型も興味深かったが、私の目はどうしても建物の空間やディテールに注がれてしまう。静謐な空間と研ぎすまされたようなシャープなディテール、そして天気が多いに影響したかもしれませんが、アプローチから見た建築のたたずまいとガラス越しに見える池と神宮の森はとても幻想的で感銘を受けました。
昨年の5月に佐藤さん、長島さんと訪ねた平等院ミュージアム鳳翔館も雨だったが、栗生氏の建築は追悼・祈りの空間にこそ真価が発揮されるように思った。いつか長崎原爆死没者追悼平和記念館も訪ねてみたいと思います。
3月27日
拡大総務委員会
今年度の委員会ごとの活動内容の確認と来年度の予算の再検討を行う。温熱教室の収支を検討し、辻先生の案が支持され全4回の開催で参加費は今年と同じ額で予算化した。その他の主な変更点は、毎年出版事業に計上していた広告費が次年度から無くなることと、JIA単独で開催することになる松本市美術館関連の予算を増加した。また総会時の会員集会の内容を検討し、「宮本忠長先生の思い出を語り合う会」とした。
以下の2項目は資料を元に意見交換した。
- 長野県との 「災害時における住宅相談の実施に関する協定」調印について
- 藤沼支部長から各地域会長宛に出されている“地域会活動費”のアンケートについて
第11回JIA災害対策会議:総務委員会と重なってしまい欠席する。
3月29日
「災害時における住宅相談の実施に関する協定」調印式:長野県と建築関連5団体との協定の調印式が、阿部知事も出席され県庁で行われた。5団体は「長野県災害支援活動建築団体連絡会」と名称が決まった。
応急危険度判定は行政と建築士会が協定を締結していて、住宅相談もこれで体制が整ったことになるが、恐らく全国に先駆けた画期的な協定だと確信している。JIA災害対策会議でも“長野県モデル”として紹介して行きたい。被災度認定調査は建設部の担当外ということかもしれないが、今後はJIAとして何らかの枠組みの構築を働きかけていきたい。
今後連絡会は年に1、2回程度協議会を開催し細部を詰めて行くことになるが、これからは丸山監査役に引き継いでいただくことになっている。どうぞよろしくお願い致します。
3月30日
「信州の建築家とつくる家」vol.13が届いた。自画自賛になるが大変素晴らしい本になりました。編集を取り仕切った飯田さんと制作の松宮さん、デザインの刈谷さん、角田さん、写真家の山内さん、大変お世話になりありがとうございました。
参加者も31人となると様々な意見があり、全体のバランスの中で難しい判断を強いられる局面も多々あったことと推察致します。私はほぼ傍観していたに過ぎませんが、建築の本づくりのプロの仕事ぶりにただ感嘆しておりました。丁寧な対応をしていただいたことにも感謝申し上げます。
そして何より広報委員会の皆さん、別けても出版担当の荒井副委員長、元プロの編集者として飯田さんとの窓口で対応していただいた山田さん、全体をまとめていただいた吉田委員長本当にご苦労様でした。出版は常に大変です。それでもより良い本を出したいという熱意で手間ひまを惜しまず、献身的に尽力された皆さんにこの場をお借りして御礼申し上げます。
我々の本づくりにご賛同いただき、今回から販売は新建新聞社さんにお願いすることになりました。すでに自社の媒体を使って宣伝をしていただいていますが、他にも企画をされているようです。こちらも新たな試みでワクワクします。我々も協力させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。