夏のセミナー(第2部)まちなみウォッチング「戸隠(中社周辺)」開催しました

公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 長野地域会

夏のセミナー(第2部)まちなみウォッチング「戸隠(中社周辺)」開催しました

JIA長野県クラブ 正会員建築家 竹内祐一さん(竹内設計工房)から、夏のセミナー(第2部)まちなみウォッチング「戸隠(中社周辺)」の報告です。正会員建築家19名、法人協力会員8名、一般2名、事務局の30名が参加しました。(2021年7月30日)

 

天の岩戸が飛んできて、現在の姿になったと伝わる戸隠山の麓に開山された戸隠神社。その天の岩戸を開いた天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)がご祭神の奥社、そして樹齢約400年を超える杉並木のその参道が余りにも有名で、そこで栄えた門前町については、恥ずかしながらよく知らず、今回のまちなみウォッチングで戸隠山を中心に重層的に広がる戸隠の魅力をより一層知るところとなりました。

 

 標高1,000メートルを超える高地に門前町としてつくられた高距御師集落で、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている中社・宝光社地区。また全国では初めての「宿坊群」という選定とのこと。今回は中社地区のまちなみウォッチングでしたが、多数の豪壮な宿坊が群れを成すように建ち並ぶその様相は信仰を背景に持つ戸隠一帯が、さながら天空に築かれた古都のようでもあります。

 

■中社大鳥居 右手は五斎神社拝殿

 

■「極意家(旧徳善院)」(登録有形文化財・景観重要建造物)にて昼食。

 建物の説明をしていただきました。

 

■茅葺屋根。修繕が待たれます。保存地区内で茅葺屋根の葺き替えが定期的に見込まれ、現在、一人の茅葺職人さんがこの地に移り住み、茅場の整備から関わっているとの こと。

 

■唯一の茅葺の薬医門が残る「横倉家(旧蹂十輪院)」母屋は旅館

 

■土蔵はカフェとして利用。残念ながらコロナ禍の影響により、現在閉店としている日が多いとのこと。

 

■旧宿坊。廃業されていたり、空き家となっているもの多く、ワケ-ション等の有効活用も図っているとのこと。

 

■伝建制度と街なみ環境整備事業の双方を活用して、保存・再生を図っている。

当会会員でもある地域の建築家・建築士が積極的に関わり、歴史的まち並みに相応しい外観等の提案を行っている。

 

■中社学習館

 

■修繕工事中の「神原家(旧観法院)」。宿坊は共通して雄大豪壮な構えが印象的。また船枻(せがい)造りにより、軒を深くしていることも特徴。

 

■「武田家(旧妙光院)」

 

まちなみウォッチング後の意見交換会では、市の方が、「街並みの保存・再生を進めている現在、重伝建制度の活用が手法ではなく、目的になってしまっている。将来像を考えていくことが課題」と仰っていた。

 

どの地域においても共通して住民が主体となる持続的なまちづくりが重要であり、大変なことのように思いますが、戸隠においては地区住民、地域の各種団体によって構成されたまちづくり協議会の活動や取組みが展開されているなかで官民が足並みを揃え進められていること等、大いに参考にすべきことがあったように思います。また地域の建築家・建築士も積極的に関わっていることも大変刺激を受けるものでした。

 

最後に、レクチャ-、そしてガイドをしていただいた都市整備部歴史的まちなみ整備室の石黒様、教育委員会文化財課文化材課の塚原様、高倉様にお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

 

 

   活動の記録

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