年の初めに
2007年01月15日
「年の初めに」(2007. 1.15) 安藤政英(安藤建築設計工房)
30歳過ぎて、この道に入り、木造の軸組なんぞにはまったくの素人だったが沢山の古民家に触れられたおかげで、本物の「木造」というものを知ることができた。
新潟の雪深い村の古びた薄暗い古民家の中に立ち尽くすと、「おまえはなんぼのもんじゃい」と建物が上からのしかかってくる気がする。この怖れが、血となり肉となって自分の創造に嫌が追うでも影響を及ぼしている。新築の木造で作るならやはり「木」が見えなくてはいけないと思い、丸太の梁の下にはそれを支える梁や柱が無いといけない、というこだわりがある。
造形の美しさは力学的な美しさと一致する。また、大工や左官、建具などの職人の技や手のふれあいを感じるものにとても魅力を感じてしまう。少し歪んでまっすぐでないもの、斑なもの、均一でないものにとても魅力を感じる。
この瞬間、この時にしかできないものというものがありそれを大切にしたいと思う。それらが偶然にして素晴らしい効果が表れる瞬間があるが、それを「花」というのかも知れない。この花を咲かせた時の感動が忘れられなくて、もう一度その感動を味わいたいという思いで毎日毎日の仕事に向かっている。ても、悔しいかなそれは蜃気楼のようでなかなか到達できない。
長い人生の中でもそんな体験を出来る仕事なんてそうは無いだろう。毎日の仕事の中で感動できるものづくりをめざす。それが今年の、いやこれからの目標だ。
因みに、「チルチンびと40号」見てね。2月に出る「チルチンびと41号」も見てちょ。究極の土壁の家やることができました。