第16回『建築祭』第30回「文化講演会」開催しました

公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 長野地域会

第16回『建築祭』第30回「文化講演会」開催しました

JIA長野県クラブ 正会員建築家 伊東亮一さん(伊東亮一建築設計事務所)から第16回『建築祭』第30回「文化講演会」の報告です。(2022年2月26日)

 

「つながる建築」長野県立美術館の現場から~ 

 

建築家 宮崎 浩先生から紡ぎ出される言葉はとても理解しやすい。県民や施工者には普通の言葉を使ったからよく伝わったという。

 

敷地の高低差利用/善光寺と東山魁夷館の2つ軸というわかりやすいキーワードから導き出された計画はプロポーザルの時から変わらず説得力がある。建物は開放的なガラススクリーンと堅牢なRC造部分で構成されている。城山公園に面して開かれた無料ゾーンは「屋根のある公園」として誰もが自由に利用できる。RC造部分は国宝も展示可能な公開承認施設として美術館の性能・品質を確保している。

 

平面図をみて驚くのは無料ゾーンの広さだ。内と外がどうつながるか、パブリックスペースを豊かにするためには美術館の敷居を低くすることが重要と考えたそうだ。

 

講演会のタイトルの「現場から」という言葉の意図を考えてみる。

宮崎先生の著書「つながる美術館」の表紙は完成写真ではなく配筋状況と善光寺の写真だ。現場でのものづくりを大事にされており、作品を紹介するよりもプロセスをリアルに伝えたかったのだと思う。「つながる建築」は現在進行形であり宮崎先生にとっては永遠に現場なのかもしれない。

 

「つなげる」という強引さではなく、周辺との関係性を重んじ手を差し伸べるような「つながる」という言葉に宮崎先生の思いの全てが込められているように感じた。

 

 

 

 

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