第1回『環境・地域材を考える』 開催しました

公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 長野地域会

第1回『環境・地域材を考える』 開催しました

JIA長野県クラブ 正会員建築家 荒井 洋さん(HAL設計室)より、第1回『環境・地域材を考える』の報告です。正会員建築家16名、法人協力会員4名、事務局の21名が参加しました。(2022年6月30日)

 

第1回『環境・地域材を考える』が松本市勤労者福祉センターで開催際されました。林新代表体制に入って初のイベントです。

第1部はZOOM講和でした。

 

【2050長野県のゼロカーボンへの取り組み】を長野県環境部ゼロカーボン推進室の小林氏、【信州ゼロエネ住宅助成金制度について】を長野県建設部住宅課の山田氏が講師となり説明してくださいました。

 

ゼロカーボンへの取り組みは2050年までの綿密なスケジュールが組まれており県の本気度がうかがえました。「2030年までが人類の未来を決定づける10年」という言葉が重く心に響きました。建築設計に携わるJIA会員も建物の設計を通じて深くかかわることになりそうです。

 

一つだけ個人的に疑問を感じたことがあります。全ての住宅に太陽電池パネルを乗せる計画であるという発言がありましたが、それを目指すのであれば県として全世帯の住宅の屋根で発電された電気が実際にどのように流れて活用されるのか、他の発電所への影響も含めて机上の理論ではない実際の状況をきちんと説明する責任があると思います。設計者としてその事実を知らない限り施主への説明責任が果たせません。

 

ゼロエネ住宅助成金も従来の県産材利用促進の助成金の延長線上ではなくゼロカーボンへ向かうための住宅政策の位置づけと感じました。いずれにしても建物の省エネ対応は待ったなしの状態であることが理解できました。

 

第2部はリアル会議でした。

【ウッドショックとウクライナショックの現状を知る】というお題で、㈱カネトの高見沢氏、林友ハウス工業㈱の竹腰氏が木材関係者として木材環境の現在をまずお話しくださいました。

 

最近ではウッドショック時の木材が入手できない状況とは違ってきており深刻な材料不足は解消されつつあるが値段は高止まりしている。県産材はロシア産唐松の禁輸の影響で唐松が買われ値段も2倍近くになっているとのこと。県の林業関係者にとっては適正な値段となりつつあることは歓迎すべきであるが、急激な需要増大は材料不足を招いてしまう恐れもあり手放しでは喜べない状況のようです。北米材は本国では半額以下まで相場が下がっているにもかかわらず、円安や原油高で日本では安くなっていないとのこと。

 

フリートークでは建設価格高騰に話が集中し、コストコントロールが出来ない現況に皆さんが困り果てている様子が窺えました。材木ばかりでなくすべての建築材料が値上がりを続けている現在、解決策を簡単に見つけることは出来ないのでしょうが設計者として何が出来るのか皆で知恵を絞り合って乗り越えて行かなければならないと感じました。

 

 

 

   活動の記録

Copyright©JIA長野県クラブ, All Rights Reserved.