夏のセミナーの報告 ②(中国木材㈱ 鹿島工場)
2019年07月30日
JIA長野県クラブ 正会員建築家 甘利享一さん(甘利享一建築設計舎)から『 夏のセミナーの報告 ② 』です。
【中国木材(株)鹿島工場見学】7月19日(金)
午後1:00~会社概要説明→午後2:00~製材工場見学→午後3:00~加工工場見学→午後4:00~集成材工場見学のスケジュールにて開催されました。
○会社概要
コストの低減と安定供給を目指して、製材に必要な蒸気と電力は石油によらないバイオマス変電と太陽光発電によりゼロ、エミションを目指しグリーン電力として現在は売電により利益が出ているとのことでした。
工場は広島県呉市にある本社工場と鹿島工場の二拠点化としてどちらかが被災したときにも、全国に供給できる体制となっており製材から加工まで世界最新鋭の設備で一貫生産と物流コストの削減により即納体制で整えているとの説明。
バイオマス発電
原木は米松材が主流でアメリカの西海岸のバンクーバー、オリンピア、ロングビューより専用岸壁を設け、船舶による輸送にて物流のコスト低減に努めている。
世界最大級の原木船(51.800t)の6隻が北米と日本を往復させ一か月に5隻のペースで原木を運搬してくる。
製品はドライビーム(ベイマツ乾燥剤)、ラミナビーム(ベイマツ集成材)、ハイブリットビーム(異樹種集成材)、国産材としてはスギ集成材、スギ集成管柱、ヒノキ集成土台、スギ乾燥平角、スギ乾燥管柱、ヒノキ乾燥土台等である。
■ドライビーム
○工場見学 原木はCTスキャンにより節・虫食い等チェックされ木拾い
①乾燥は石油によらない残廃材をボイラー燃焼としている。
②窯入れ最終仕上げ寸法より15%大きくした木材を窯入れ。
③温度と湿度の管理はコンピュータ制御により14日かけて乾燥。
④養生専用のストックヤードで7日以上寝かせる。
⑤含水率測定20%以上は不合格として再度乾燥工程へ。
⑥仕上げ加工4面プレーナーで仕上げ加工をする。
■ラミナビーム
505基(※)の人工乾燥機。日本で最大の設備と、構造用乾燥材ドライ・ビームで培われた最新の乾燥技術を応用しており、ラミナ品質の向上とコストダウンを可能にしている。
※50㎥容量の乾燥機を一基として換算
JAS規格に基づきグレーディングマシーンにより、強度別に選別したラミナは、各層に分けて仕上げて高精度の表面加工を施します。WACO高速プレーナーや、全自動4面スキャニング欠点除去ラインWood Eyeをはじめとした最新鋭の設備。これらにより高い信頼性を持った大量生産システムが実現している。
①乾燥原板受入→②予備切削WACOプレーナー→③含水率検査→④強度検査(MSR)→⑤Wood Eye(4面スキャンニング欠点除去)→(フィンガージョイントライン)→⑥ラミナ厚さ決め(ミカエルヴァイニッヒ社製)→⑦ラミナ仕込み→⑧ラミナ予備加熱→⑨接着剤塗布→⑩圧接(コールドプレス)(山本鉄工製)または圧接(ホットプレス)(ドイツ ディムター社製)→⑪養生→⑫製品寸法仕上げ→(欠点補修)→⑬選別・検査・梱包→出荷
■感想
原木のコストは国産材と米松材では国産材の方が安いとのことです。流通系等によってその差はほとんどなくなっているとの話でした。
また、中国木材の日本における生産量が80%近くを占め、競争の原理がなくなりコストダウン化が難しくなっている現状がある。運送距離を短くして流通によるコストを下げるためにも地産地消を遂行することが妥当と考える。