夏のセミナーの報告 ⑥ (道の駅ましこ)
2019年08月24日
JIA長野県クラブ 正会員建築家 藤松幹雄さん(藤松建築設計室)から『 夏のセミナーの報告 ⑥ 』です。
【道の駅ましこ】7月20日(土)
2019年夏のセミナー2日目は建築三昧となりました。
その最後を飾ったのが2017年JIA日本建築大賞を受賞した「道の駅ましこ」。今年の2月 JIA長野県クラブの文化講演会と長野県学生卒業設計コンクールで審査委員長をして頂いた建築家 原田真宏氏の作品です。
象徴的な山型の屋根はその土地の山並みに連続し溶けこむように佇んでいました。
益子南部のゆったりとしたロケーションの中で、防災調整池を親水公園と結びつけるなど、ランドスケープも気持ちよく配慮されています。設計者の「風景で作り、風景を作る建築」を実感する事ができました。
案内担当はフレッシュな山崎さん。以前は役所にお勤めだったそうで、現在は「道の駅ましこ」のメインスタッフ。職場の離職率がかなり低いそうです。
説明を聞きつつも気になるディテールに吸寄せられるJIA会員たち。
木架構材を受ける台座はRCで地元の土を塗って仕上げています。雨だれ受けの石材も地元の石だそうです。
最大スパン32mの山形の木架構材は地元の集成材工場で加工した地場産「八溝杉」です。
外部からはダイナミックな構成に感じますが、内部はとてもヒューマンなスケールで親しみやすい空間でした。
益子は民芸運動でも知られる地域。作家や農産物を持ち込む農家の人達、また運営側も「こだわりの人が多いですね」と山崎さん。農産物のラッピングは持ち込む農家が自分たちで考え並べていくそうです。ピクルスなどの加工品も道の駅のスタッフが企画したもの。その「漬物の液」も評判となり別途販売されています。
いわむらかずおさんの絵本ブース
気になる内樋ですが・・
枯葉やごみは定期的にスタッフが屋根に上って掃除をし、年3回ほどの積雪時は暖房をかけて建物を温め融雪しているとの事でした。メンテナンスフリー的考えでは無く、手をかけ丁寧に使う考えに共感(これも益子らしさか)。道の駅お約束の過激な看板や幟旗がないことからも分かりますが、地域のシンボルとして大切に利用されている建築であることが伺えます。風土に根差し地域に愛される幸せな建築でした。