JIA長野県クラブ「代表日誌」2020年10月
2020年11月09日
JIA長野県クラブ 新井 優 代表より「代表日誌」が届きました。(2020年11月7日)
南信州は山々が色づき紅葉真っ盛りの時期になっています。忙しい仕事の合間ですが、少しは季節を感じながら心を豊かにしたいものです。
【10/13 県立武道館建物見学会・技術交流会】
さて、10月13日には佐久市の県立武道館の建物見学・技術交流会が開催されました。担当委員会に皆さん、協力会の皆さんご苦労様でした。
※詳細はこちらへ。→https://jia-nagano.com/blog/10332.html
設計を担当された環境デザイン研究所の古藤田氏を佐久平駅にお迎えにあがり、昼食を共にさせていただいた。環境デザイン研究所は30数名の所員で全国の大型物件を手掛けているが、設計者同士の気安さの会話の中で大変さを話されていた。県立武道館も例にもれず、プロポ当選から設計完了まで約一年の短期間でまとめ上げた能力にまず脱帽した。
普段あまり体験できない本格的な武道館の畳の感触、「遊環構造理論」による動線計画、ハイブリッドな架構など見どころも多かった。
本年度のJIA長野県クラブの活動テーマとして「共に(友に)学ぶ」を掲げてきた。川上さんが言われるように、学ぶは “まねぶ”「まずは真似て学ぶことから始まる」と言われているが、日本人的には「形から入る」ことだそうだ。それは武道の “形を学ぶ” ことでもあり、形から入り基本を習得してこそ、伝統に根差した真の想像力と造形が生まれる源泉でもある。高橋さんに教えていただいた、建築家の菊竹清訓氏のデザイン理論「か かた かたち」にも通じると思う。県立武道館をみて、こんな事を思った。
【10/20 信州の木建築賞 二次審査】
本年度は直接作品を見ることは出来ずで、ビデオ動画とリモートによる二次審査になった。多くのJIA長野県クラブの皆さんの参加ありがとうございました。7名の審査員による作品審査で、私一人の頑張りでは限界があり(言い訳です)紙一重の当落線上で残念な思いをされた方も多かったと思いますが、その差はごく僅かでしたので、次年度も是非挑戦をお願い申し上げます。
信州の木建築賞は日本でも一流の木造の構造家が審査員に加わっているため、構造に対する審査の目は厳しいものがあります。当落作品に関わらず、審査員から指摘された意見は以下の通りです。
・構造現しの場合、仕口・継ぎ手が見えてくるため、セオリー的にきちんと納めることを要求される。
・但し、地域材を使用しても構造現しにしない場合の合理的な説明がほしい。
・特に大きな吹き抜けがある場合、妻面等の耐風横力に対しての構造的対処に問題がある作品が見受けられた。
・構造的に特殊な対応をしている場合は、きちんと説明できる準備が必要。
・熱量の大きな薪ストーブの家の中での置き場所に検討の余地がある。
本年度の募集テーマは、環境に優しく快適な住まいを信州の木を使用してつくる事に加えて、信州らしい生活、地域とつながる住まい方、まちなみや周辺環境との関係性等が求められたが、それぞれに工夫された気持ちの良い住まいが応募され、審査している自分自身が良い勉強をさせて頂いた。
ありがとうございました。
次年度、上記の構造問題を含めて講師を招いて、総論ではなく実質的な勉強会が出来ればと思っている。ご協力をお願い申し上げます。