JIA長野県クラブ「代表日誌」2020年12月

公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 長野地域会

JIA長野県クラブ「代表日誌」2020年12月

JIA長野県クラブ 新井 優 代表より「代表日誌」が届きました。(2021年1月6日)

 

JIA長野県クラブの皆様

明けましておめでとうございます。

 

Stay Homeで、落ち着いた正月を迎えたと思いますが、離れた家族が会えない悲しい正月でもありました。人と人が会うことすら遠慮してしまう雰囲気がコロナ以上に蔓延しています。さらには “新しい日常” がぶっ飛んで再度の非常事態宣言。先行きは楽観できませんが一日でも早くコロナ禍が収束することを強く願っています。

 

その中でも、JIA長野県クラブでは全会員の協力で、いち早くWeb会議システムを運営して基本的には例年並みの活動が出来たことに感謝しています。2月にはJIA長野県クラブ最大の行事『建築祭』が控えています。どんな状況になろうと学生卒業設計コンクールはやり遂げると強い意志の元、事業委員会を中心に内容を詰めています。コロナ禍でも負けないJIA長野県クラブの活動の為、ご協力をよろしくお願いします。

 

『信州の建築家とつくる家vol.16』の編集作業も3月末発刊を目指して順調に進んでいます。

この出版事業は作品集を超えて、会員のレベルアップとして、それぞれの建築感を話し合うプラットホームとして、その上で建築家の職能と倫理を話し合うステージに育ってきました。本に参加する・しないは別として、個人の作品を通して見えてくる多様性の中に『JIA長野県クラブ』に所属する理由が見えてくると思います。そのような一人一人の想いを素直に言い合える雰囲気を大事にしていきたいと思っています。

 

代表日誌が月一書けずに申し訳ございませんが、直前の日誌からの代表としての勤めを報告します。(なんか、ブログ記事の後追いになりますが、私見も交えます)

 

【10月26日】東日本台風災害の対応で知事表彰

https://jia-nagano.com/blog/10460.html

知事表彰式には丸山副代表に出席いただいた。災害対策委員長として孤軍奮闘頂いている丸山副代表が表彰式に相応しいと思いました。他にも多数の方が被災された方への支援として住宅相談等に参加されました。皆様有り難うございました。

 

 

【11月10日】 第2回 『地域材を考える』―長野県産木材を川上から川下まで連続講話で学ぶ 

https://jia-nagano.com/blog/10487.html

講師に(株)山川草木の香山由人氏と長野県林業総合センター吉田孝久氏をお呼びして実のある “話し合い” が出来た。特に現場をよく知る香山氏の話は里側の我々にはいつも新鮮な情報を与えてくれる。また、吉田氏の研究成果は実は日本最先端な話でもあり木材利用の技術的な基盤を担っている。長野県クラブの場合は学ぶを超えて “話し合い” になることが特質でも有り、言いたい放題の面もあるが、里側での問題点がより分かりやすく露呈してくる所がらしい。(実は講師の先生には再度の話し合いに来てくれるかヒヤヒヤしていますが・・・)

 

一般的にお金を支払って受け取る品やサービスを商品と言うが、その品質の確保については提供者に責任があると言うのが消費者の認識と思うが、どっこい地域材はそこまで行っていない。

私は20年前から素材にサービスを乗せて流通することが地域材の将来を決めると言ってきているが、まだまだ道のりは遠いと感じる。地域材流通に対してJIA長野県クラブ会員が実務として何が出来るか、そろそろ動く時期ではないだろうか。

引き続き行われた技術交流会では、(株)テオリアランバーテックの丸山淳治さんよりの説明だったが、氏の木をテーマにした取り組み姿勢にはいつも感心してしまう。

 

 

【11月14日】JIA北関東甲信越学生課題設計コンクール審査

Web方式で18時より開催された審査会であるが、工業高校の部18作品、大学・専門学校の部27作品を22時までに審査終了する予定で開始された。今回は2019年度のコンクールが延期になってこの11月に行われた。

 

長野県関係の受賞者ですが、工業高校の部では長野工業高等学校3年の赤塚代城君の『庭のある暮らし』が見事に金賞を受賞。

長野県らしい広々とした敷地の中に、和風平屋の建築の空間提案と凹凸のマウンドに施された作庭が見事に組み合わせられており高く評価された。加えて模型と鉛筆デッサン風イラストを組み合わせた見事なプレゼン資料も金賞の決定打になった。

 

大学・専門学校の部では、信州大学2年の福田凱乃祐君の『関係性を紡ぐ家』が長野地域会賞を受賞。波打つ屋根の中には様々な空間が内包されており、その一つ一つの空間を丁寧に生活の楽しさと結びつけている。審査員の一人は「フランク・O・ゲーリー」的な感性だとの評価もいただけた。同じく信州大学2年の三宅航平君『渦巻く家』は惜しくも受賞は逃したが、発想の豊かさと丁寧なプレゼンテーションも高く評価された。

 

私自身は、ただでさえ慣れない作品審査に加えてWeb方式と来て、事前配付資料の読み込みは丁寧に行ったが審査のスピードに合わせるのに四苦八苦。審査会長を務められたJIA関東甲信越支部長の慶野正司氏のリードに助けられて、定刻を少しオーバーした程度で審査終了。建築家の職能以前に個人の資質も問われる審査会でもあった。

2021年度は3月に群馬で行われる予定だが、出来ることを期待している

 

【11月20日】 信州の木建築賞 表彰式  長野市芸術館アクトスペース

JIA長野県クラブの受賞者は下記の記事で確認ください。

https://jia-nagano.com/blog/10407.html

いつまで経っても慣れない長野県クラブ代表として受賞された会員に表彰式を手渡しました。自分が受賞したように何故か嬉しかった。コロナ禍や別の審査が重なった方もおり全員に会えなかった事は残念でした。ともかく受賞された皆さんおめでとうございます。審査会は水物で、JIAの応募者全員に賞は行き渡る事は果たせませんでした。しかし、締め切り一週間前には非常に少なかった応募者でしたが、多くの方の応募を頂き有り難うございました。

 

表彰式の後には、受賞者による作品プレゼンテーション、五十田先生による作品講評。信州大学工学部建築学科 教授 高村 秀紀 氏による「省エネ住宅のいまとこれから」、前記の京都大学生存圏研究所 教授 五十田 博 氏による「木材を利用した建築物のこれから -住宅から高層建築まで-」と実のある内容の講演を聴けた。それぞれのイノベーションはどんどん進んでおり、一時も歩みを止めてはいけないと再認識。10月に審査過程で見えてきた木構造問題に加えて次年度の勉強のテーマを頂いた。

 

【11月20日】2020年度第2回委員長・地域サミット合同会議

表彰式同日・同時刻に行われたJIA関東甲信越支部の会議には清水副代表に参加していただいた。内容の報告は幹事会で行いますが、私自身はどちらに参加したら良いか最後まで悩んだが、事務局佐藤さんの『地域会代表としての勤め優先』のアドバイスを判断材料として表彰式プレゼンターの役割を第一とさせていただいた。これに迷っているようでは自分には長野地域会代表としての自覚が足りないと反省。地域サミットに参加してくれた清水副代表有り難うございました。

 

【12月4日】冬のセミナー『浅間温泉まち歩き』『技術交流会』

https://jia-nagano.com/blog/10596.html

当初はGoToトラベルをフル活用して豪華温泉宿泊とセットで、一年間のコロナ禍の憂さ晴らしと企画しておりましたが、11月からの第三次感染拡大により宿泊は止めざるを得ませんでした。少し判断が速いとも思いましたが、JIA長野県クラブの運営上は直前の予約キャンセルでキャンセル料のみ会からの持ち出しでは、せっかく我慢してきた一年間の活動費のプールが消えてしまうことは避けたい、さらには個人事業主の集まりである以上、コロナ感染より怖い風評被害はさらに避けたいとの考えでした。ご理解をよろしくお願いします。

 

さて、本題の浅間温泉まち歩きですが、歴史と文化とそれを現す建築が残る浅間温泉の奥深さを十分堪能しました。高名な文化人も定宿とし作品を残し、さらに魅力を高めていたことが分かります。当時の主産業の製糸業や稚蚕業から業態転換した旅館も多く、それらが現存していることで建築的にも非常に価値のある地域です。さらには空き家を利用したリノベカフェ等を若者たちが運営を始めている事も浅間温泉のこれからを明るくしている。是非、長野県の名湯として頑張ってほしいと思った。松本市のJIAメンバーもガイド役として魅力発信されていて頭が下がりました。

 

 

https://jia-nagano.com/blog/10515.html

『技術交流会』では、4社のプレゼンテーションを頂いた。技術交流会は協力会メンバーとの貴重な交流機会として様々な活動にこれからも組み合わせて行きたい。

閉会後、正副代表のみでリノベカフェに場所を移して、次期支部役員の選定について話し合いを持った。西澤さんに勤めて頂いた4年任期が終了したためですが大変ご苦労さまでした。

 

【12月28日】支部への次年度予算案の提出

1月幹事会にて詳細はご報告しますが、支部の締め切りに合わせて2021年度の予算案を提出しました。事務局佐藤さんご苦労様でした。

基本的には例年を習っていますが、withコロナの時期として活動方針も進化しなくてはなりません。『共に(友に)学ぶ』をテーマに本年度の活動を進めてきましたが、そこで見えてきたいくつかの課題を次年度は、外部講師も招いてシリーズセミナーを是非企画したいと思いました。 ただし代表旗振りではなくて、自発的なテーマで各委員会活動として進めて行ければ良いと思います。是非よろしくお願いします。

 

また、どこかでお酒を交えて顔を合わせ建築を楽しく語り合う機会が出来ればと思います。会としては開催の責任がありますが、自己責任で宴を共にするコンセンサスもどこかで必要かと思います。コロナを恐れても精神的には立ち向かう雰囲気に替えていく事をどこかでチェンジする必要もありそうです。

 

【その他】

細かくは各委員会報告資料となるが、JIA長野県クラブ活動を支える各委員会は多数回行われています。 “JIA活動の為の委員会はWeb方式で・実際の活動は顔を合わせて” をテーマにもしてきましたが、各委員長の皆様にはもどかしい思いを与えてしまったかもしれません。

 

Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルの中では、年度末はチェックしながら次のより良い方式に改善していく時期になっていきます。忌憚なくご意見を担当副代表にご進言ください。元々リーダーシップに欠ける自分ですので、代表がぐいぐい引っ張るのでは無く、全会員が楽しく顔を合わせて建築の理想を語り合える場の土台づくりが義務と考えています。

 

【1月5日】新年を迎えて

サボっていた代表日誌をまとめて書いている間にも、今日の長野県内新型コロナ感染者44人過去最多のニュース。当面の建築祭をどのように開催するか判断が求められますが、担当委員会と共に最善の方策を考えていきます。今までもそうでしたが、先行きは分からないが現時点での社会的背景を基本として判断せざるを得ません。難しい判断の連続の初春ですが、いつも力を合わせて前に進むJIA長野県クラブの皆様に助けられています。いや、助けてください!!

今年もよろしくお願い申し上げます。

 

 

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