第4回仕事を語る会 開催しました
2019年03月20日
JIA長野県クラブ交流委員会が主催する 第4回「仕事を語る会」が開催されました。(2019年3月15日 会場:松本市勤労者福祉センター)
「仕事を語る会」とはその名の通り、普段なかなか聞きにくい”仕事の仕方”について話して頂く場です。
今回お話を伺ったのは、吉田 満さん(スタジオアウラ)と新井 優さん(新井建築工房+設計同人NEXT)です。正会員建築家11名、法人協力会員1名、事務局の計13名が参加しました。
吉田 満さん「対話から生まれる場所」
近作を2つ紹介していただきました。『備えるコートハウス』北と西が道路の角地に立つ平屋の住宅です。外に面した窓は無く防犯にも優れていて、中庭のおかげで室内には気持ち良さそうな空間が広がっています。施主の希望した”災害に備えた静かな暮らし”を叶えた設備とプラン、シンプルに見えるデザインも細やかな検討を重ねた寸法で、心地良さに繋がっていると感じました。
『マザーバインズ長野醸造所』は、下高井郡高山村の果樹園に隣接する里山にあり、これからワイナリーを始める人の研修施設、醸造所、国内外からの視察の受け入れなどの機能を持つワイナリーハウスです。集落の景観に配慮した高さや色使いにしたという外観は、ショップやカフェでもありそうな良い雰囲気です。ここ数年小さなワイナリーが増えている信州、地域に根差し日本のワイン文化を世界に発信する場として、末永く愛されるワイナリーハウスの完成。いろいろなご苦労があったと思うのですが、吉田さんはいつも飄々とやってのけるように見えます。
休憩をはさんで、新井 優さん「個人として設計者として『満蒙開拓平和記念館』への取り組み」
今年度 信州の木建築賞を受賞した建物についてのお話でした。中国東北部(旧満州)やポーランド(アウシュビッツ)に視察に行った時のスライドも見せていただき、伊那谷の養蚕農家と中国東北部の建物が似ているとか、中国東北部とポーランドは共に大穀物地帯だとか、興味深い話を伺いました。
満蒙開拓平和祈念館では、訪れた人は順路に従って進むと、追体験が出来るようなストーリーに沿った導線となっています。新井さんが ”なるべく質素に、なるべく力強く”と考えた建物は、悲しい歴史を伝えるだけじゃなく平和学習の施設としての役割を担っています。今後更に修学旅行生の受け入れができるよう、セミナー棟の増築が決まっています。
建築の感想ではありませんが、「自分の判断が後にどんな影響を及ぼすのか。」当時の村長の決断を思うと非常に重く、一番印象に残りました。
「仕事を語る会」は、建築主との出会いからプランニング、仕上げ材など本当に話が尽きません。発表しながら「ここの納まりはちょっと納得いかなかったけど・・・」とか、質問も「玄関こちらからのプランは考えなかったのか?」とか「どうやって仕事をとったのか?」とか、なんともオープンで答え難い質問もあり、ここだけの話もあって面白いです。新井さん、吉田さんありがとうございました。この企画ぜひ来年度も発展させて継続してほしいと思います。
備えるコートハウス
マザーバインズ長野醸造所
満蒙開拓平和祈念館
☆いままでの「仕事を語る会」の報告記事はこちらです。
第1回「仕事を語る会」 https://jia-nagano.com/blog/6054.html
第2回「仕事を語る会」 https://jia-nagano.com/blog/6183.html
第2回「仕事を語る会」 https://jia-nagano.com/blog/6209.html
第3回「仕事を語る会」 https://jia-nagano.com/blog/6275.html