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建築家の独り言

「建築家の独り言」(2006.10.16) 佐藤友治(計画工房都市建築設計事務所)

 

自分の仕事は何かを忘れることが時々ある。そして、ふと気がついて思い出してみる。そんな繰り返しで30年を超えた。JIAの会員に名前を連ねた理由は何だったのか?それを問い直す機会もなく旧家協会・新家協会の時代から「建築家」と称して仕事をしてきた。この機会に今、自分自身へ「建築家の仕事」を問い直してみたい。

 

計画を理解し、検討し、図面や模型を造り、結果として実物を「建築」として創る仕事の中で楽しさを享受し、誇りと別に大きな満足感に溢れた仕事かと感じつつ、社会的な責任、存在意義、職能といった言葉を思い浮かべながら少し。

 

「ART」+「TECNIQUE」が「ARCHITECTURE」=の語源、「ARCHITECT」は芸術と技術を総合し、「建築」を創り上げる職業。「職能としての建築家」を意味し、その起源といった理解をしていた。

 

音楽にとって、それを表現する演奏者・オ-ケストラが生産に結ぶ技術者。優れた作品が後世まで伝えられるには優れた演奏者がいなければ作品として存在し得ないのではないだろうか。文学にしても「原稿」というプロトタイプによって作品成果を表現することになるだろう。そして、活字にし、印刷という技術を通じ、本という体裁で初めて具現化できる作品。印刷の量や質を計算し、紙の量をカウントする仕事は不可欠かと思う。

 

それらを「社会化」する職能があり、建築家や指揮者とかあるいは編集者といった仕事はそのあたりに存在している職業ではないかと思う「科学と芸術を結び真理と審美を社会化する。」これらは建築家の職能と社会的な存在意義を示していると理解した。 直接的に工事や、演奏や、印刷をする仕事ではないが、それらの目的物を仮説として特定する仕事として理解できるのではないかと思う。

 

もうひとつ、「建築家」の領域に関するもので「建築家」と「都市計画家」についての議論、大体4km平方の範囲は「建築計画」の範囲と考え、それを超えると別の視点からの解析や検討、判断が必要になるので「都市計画家」という職業が求められるというもの。建築家の仕事を定義する明快な議論という印象で納得。

 

これらの基礎知識を振り返りながら、日常の仕事と自分の力量を推し量り、最近考えていることもいくつかある。
日本の建築総生産の中で「建築家」が関与する建築生産は比較的少ない。日本特有の風土・文化社会の中で「建築家」という仕事は社会に認知されにくい、されない。といった議論。資格制度も根源はそこに尽きるかと思うが、別の視点で考えてみる。

 

「建築家」という仕事は「社会」という演劇や舞台をつくる脚本家・演出家・舞台装置家あるいは社会という演劇そのものの黒子みたいなものではないだろうか。舞台に登場することはない。しかし舞台は自分たちが居なければ決して成立しない。そして原作者という芸術家が目を光らせている。作品を社会化することを仕事とする職能ではないだろうかと・・。求められているのは高度な「技量」と「作品」を評価する高い資質。 優れた技術者を統括し興行を取り仕切る製作者、そんな職能が与えられている。最近はそう思うことがよくある。「高い見識と社会への強い責任感」が、そして「優れた技量と評価能力」が求められている。

 

「建築家」が社会へ貢献するためには不可欠な要素と考えている。「100年の保証を求められる建築」でなく「100年かけて創る建築」を提案する。そんな「建築家」になれたら・・ と、独り言をつぶやく年代になった。

 

 

     2020/09/10  事務局ブログ, 建築家のひとりごと

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