まちに関わる—母性愛かも
2006年09月01日
「まちに関わる—母性愛かも」(2006.09.01) 新井 優(新井建築工房+設計同人NEXT)
『黄金桃』って言う“もも”を知っていますか。果実が黄色く糖度が高く一回食べると普通の桃が色あせて見えてしまう。実は、果樹農家の家造りをお手伝いしていて、現場へ行くたびにこの桃や梨・リンゴ等、収穫時期に合わせて“ただ”で頂いてしまいます。地域で仕事をする有り難みをしみじみと味わっています。
前置きが長くなりましたが、丸山さんよりご指摘頂いた“まちづくり”について・・・
行政が中央のコンサルに自分たちの街の将来を丸投げする理由はただ一つ、【国の補助金導入】です。コンサルは国の天下りを抱え込み、コンサルの下には特定の設計者がぶら下がる。地域の設計事務所はそれらの大規模事業の下請け狙いに奔走するのみで、未だに地域の歴史・文化・生活感を無視したミニ東京がドドーンと立ち上がる。今後、中心市街地活性化法でますますこの傾向は拍車がかかると思われる。さらに頭にくるのは、足元を見つめながら提案する地域の専門家は市民として行動するしか方法が無く、いつまで経ってもボランティア・・・・提案が活かされるのなら救われるが・・・・・
この様な状況の中で、私たちは個人として・市民として・建築家として・JIAとしてどのように街に関わって行けるのであろうか。
(まちづくり→まちそだて→待つ残す→まず残す)と、最近良く言われます。一般的には過去は学習できるが将来が見えない人間の性でもありますが、クライアントの言葉での要求を美しいかたちとして提案する仕事を日々行っている私たちは、チョッピリ将来が見える能力があると思っています。つまり、これこそが建築家の職能と思っている。
『市民としてプロとして』をモットーに、くじけずに自分たちの街に関わり続けていくことが自分のできる最低限の姿勢と思っています。その上で、JIAまちづくり委員会として何ができるかを皆さんと一緒に考えていきたい。
そうこう言っている内に、先日の諏訪の繭蔵の取り壊しを新聞報道で知るのみであった現実を、今後どのように対応していくかも、会全体として方向性を探っていく必要があると思っています。
先日、飯田市歴史研究所の主催で安藤忠雄氏の講演会が行われました。一般市民向けのお話しであった為か、大阪弁で楽しく厳しくとっても分かり易く、講演会後の本の販売とサイン会は主婦層の長蛇の列。難しい顔をして理想を語っても相手の心に響かないと妙に納得した一日でした。