日本建築家協会JIA長野県クラブ

公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 長野地域会

耳のカユイ話

「耳のカユイ話」(2006.10.02) 久保隆夫(宮本忠長 建築設計事務所)2006

 

十月を迎え、秋の夜長に何をして楽しもうか・・・などと考えてはみるが、若い頃から昼も夜もなく齷齪している自分には季節感を楽しむなど無縁なことであったことにあらためて気づき、取り返しのつかない??反省をしている。

 

また最近自分の都合でJIA地域会の皆さんとの対話ができていない事も猛省しております。いまや、内的には財政難を背負いJIA本部、支部、地域会の連携について重要な危機を迎えており、外的には建築士制度の再構築問題を抱え、長野地域会としても意思確認が必要となっております。改めて「建築家」「建築士」「建築家協会」そして「市民に対する応え」について地域会での意見を交わす機会が必要と思っています。

 

話は変わって・・・某美術館の日本画特別展でのチョッとカユイ話。加山又造、杉山寧ほかその師弟たちの名画が並ぶ中でいつもは自分で漫然と観て終わってしまうのだが、開催初日のため院展審査員のエライ先生が画家や画法、人的背景など面白く解説してくれお蔭で画の見方を膨らますことができた。=建築も市民に対して平明な説明が必要か…不安になる=

 

更にエライ先生曰く、『真の画家はみな“芸術家”である前に“職人”である』と。何故ならば、とかく芸術家と呼ばれるようになるとキズモノであっても名声で商流に乗り、高値で(価値とは異なる)世の中に出回る。生活を賭けている職人は決してキズモノや未完成の作品を世に出さない。

 

これは本人の問題だけでなく不透明な画壇社会の構図に起因するのだろうと推察したもの、我々の社会にもある「耳のカユイ話」であった。要するに、見えないところでの努力が評価される社会の審美眼を期待するしかないのだろうか…。師はどこにでもいるものです。

 

 

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