新潟研修旅行の報告⑥(旧齋藤家別邸・旧小澤家住宅)

公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 長野地域会

新潟研修旅行の報告⑥(旧齋藤家別邸・旧小澤家住宅)

JIA長野県クラブ研修旅行 参加者の中里麻美子さんから『新潟研修旅行の報告⑥』です。

 

【新潟の繁栄の証、旧齋藤家別邸・旧小澤家住宅】

旧齋藤家別邸は、「新潟の繁栄ぶり」を物語る豪華さでした。

この建物は大正時代、財界人であり政界人でもあり新潟三代財閥の一人と云われた齋藤家4代目当主が庭とともに4年間かけて完成させた迎賓館でした。

 

 

戦後、所有者は齋藤家から建設会社へと変わりましたが、市民の文化交流の場として維持し、現在は公有化されています。大広間では欄間「月」の字くずし、桐の床柱、四方柾目の角柱、たたみ縁模様に織り込まれた「鶴」など、シンプルで上品な「おもてなし」のためのこだわりを館長さんからお聞きしました。

 

 

館長さんは「亀」をあしらった模様探しや庭師松本幾次郎兄弟が庭づくりに込めた無言のメッセージなど、見どころを盛り沢山に説明してくださいました。特に印象的だったのは「庭屋一如」(ていおくいちにょ)の考え、建物と「池泉回遊式庭園」の溶け込むような一体空間の造りです。

 

 

次に徒歩で向かったのが旧小澤家住宅です。

旧小澤家住宅は米穀の商い、「北前船」と呼ばれた回船の運航で新潟湊(みなと)の繁栄を支えた店舗兼住宅です。

座敷や蔵、庭園などのしつらえは豪商として小澤家が栄えた様子がうかがえます。道具蔵は2階部分に残る焦げ跡から明治13年の大火以前の建設で、主屋はその直後に再建されたと推測されています。

外観はメイン道路に面して平入で、軒先のせがい造りと張り出した2階の造りが特徴的な新潟町家の典型例です。平成14年に新潟市へ寄贈された後、市文化財指定とされ、修復整備にともない発掘調査、耐震改修を行い平成23年に開館されました。

 

 

当日は新座敷と道具蔵に筒描きが飾られており、新座敷は欄間やランプシェードと共ににとても華やかでした。ガイドさんから筒描きの絵柄に込められている当時の人の想いについても説明をいただきました。

 

 

 

庭園は伝統的手法に従い、各地の名石や名木が配され景観の変化を演出し、賓客をもてなす社交空間として構成されています。補強柱や天井スリットなどがあり、耐震性能や空調設備など建設当時には無かった現代の諸事情に対応することに尽力した様子がうかがえました。

 

 

 

   活動の記録

Copyright©JIA長野県クラブ, All Rights Reserved.